魔法少女をオンブで登校!?学園への道!
朝の光が優しく二人を包み込み、青空に浮かぶ雲がゆっくりと流れていた。
グリンディアとオズワルドは、魔法学校ギョウダへ向かって歩いていた。
この日の朝、家の前で集合することになっていて蛙亭からグリンディアと世話係のケスミーがやって来た。
ケスミーは「グリンディア様をよろしくお願いします」と何度も頭を下げた。
母は「大丈夫です。オズワルドに任せてください。オズワルド、しっかりやるのよ」と念を押した。
「わ…わかってるよ…!」オズワルドは自信がなさそうに返事をした。
母の言葉がプレッシャーとなり、彼の心に不安が募る。
「何かあれば駆けつけますのでお呼び下さいグリンディア様。」
そう言うとケスミーはマジックアイテムの袋から取り出したホウキに乗って空を飛び帰っていった。
そして、家から少し歩いたところで、オズワルドとグリンディアは二人きりになった。
「えーっと…グリンディアさん…?グリンディアちゃん?」
オズワルドが躊躇いながら口を開く。
しかし、彼が名前を呼んだ瞬間、グリンディアはピタリと足を止め、怒ったように振り返った。
「もー!オズワルドはワシの従者なんじゃから、グリンディア様と呼ぶの!」
その鋭い目に、オズワルドは慌てて訂正する。
「そういうものかぁ…わかりました。グリンディア様…」
「よろしい!」と彼女は満足げに頷いた。
「オズワルドのことは今日から『オズ』って呼ぶね♪」
「はい…わかりました。」
オズか…誰かが僕のことをオズって呼んでたような気がする。
そんな懐かしい記憶が、彼の心の奥でかすかに蘇った。
「では、学校まで魔法で飛んでいこう!」グリンディアは意気揚々と提案する。
その言葉にオズワルドは一瞬驚いたが、すぐに困った顔を見せる。
「えっ?グリンディア様は飛んで移動することができるんですか?僕は飛ぶなんて無理ですよ。精々、浮くのが限界です。しかも5秒くらいしか。」
「えーーーーーっ!?じゃあどうやって学校に行くの?」
「歩いてです。」オズワルドが苦笑いしながら答えると、グリンディアは膨れっ面で言った。
「歩いて?ここから結構遠いじゃん。」
「じゃ…じゃあ、こうしましょう。グリンディア様、飛んでください。僕は歩くか走るかして、ついていきますから。」
「う~ん…それもなんだか味気ないし…じゃあ!オンブして。」
「えっ?オンブですか?」オズワルドは思わず聞き返す。
「この前、ワシを背負って普通に走ってたじゃろう。」グリンディアは当然のように言った。
「はあ…わ…わかりました…グリンディア様がそれで良いのなら。」
オズワルドは観念し、グリンディアを背中に乗せる。慎重に立ち上がった彼は、彼女の軽さに気づく。
(誰かを背負うなんて初めてかもなー…)
彼女は少しずつオズワルドの肩に寄りかかり、柔らかな髪が彼の首元をくすぐる。
「さあ、行こう!オズー♪」グリンディアの無邪気な声に、オズワルドは微笑みを浮かべた。
「はいはい。」
しかし、しばらく歩いているうちに、グリンディアの呼吸が穏やかになり、オズワルドは彼女が眠りに落ちたことに気づいた。
(ありゃ…寝ちゃってる。)彼は心の中で呟いた。
(天才魔法使いかもしれないけど、眠ってしまえばただの普通の女の子だな)
とオズワルドは思いながら、彼女を背負ったまま慎重に歩き続けた。
優しい風が吹き抜け、二人の影がゆっくりと伸びていく。
オズワルドは、彼女を背負いながら、一歩一歩、ギョウダ魔法学校への道を進んでいった。