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別れのデート。親同士が決めた許婚

挿絵(By みてみん)



放課後の魔法学園ギョウダァ。オズワルドとグリンディアは、今日も二人で並んで帰宅しようとしていた。その時、エルフィールが近づいてきた。


「オズワルド…ちょっと良い?」

エルフィールが静かに声をかけると、オズワルドは少し驚きながら振り向いた。


「ん?どうしたんだい、エルフィール。」

オズワルドが問いかけると、エルフィールは一瞬、言葉に詰まった後、意を決したように続けた。



「今度の休みに空いてたら、一緒にお出かけして欲しいの…」


「へっ…僕と?」オズワルドが面食らっていると、隣にいたグリンディアが口を挟んだ。


「ちょ…ちょっと待てーー!オズはワシの従者じゃぞ!」

グリンディアが慌てて止めようとするが、エルフィールは真剣な眼差しで彼女を見つめる。


「お願い…もうこれっきりにするから…」


グリンディアはその言葉と、エルフィールの切実な表情に、思わず黙ってしまった。

「…そ…そうか…わかった」


「じゃあ…次の休みに…」エルフィールは軽く一礼し、足早に立ち去っていった。


その場に残されたグリンディアとオズワルドは、ぽつりと顔を見合わせる。

「どういう事なんじゃろ…」

「わかりません…」




約束の朝、オズワルドは自宅近くでエルフィールを待っていた。やがてエルフィールが現れると、彼女はいつもより少しおしゃれな服に身を包んでいる。


「お待たせ」エルフィールが微笑んで言うと、オズワルドは思わず言葉に詰まった。


「わっ…かわいい…服だなと…」


「うふふ…ありがとう…」エルフィールは微笑む。そんな二人を、少し離れた場所からグリンディアとフレアがじっと見つめていた。


「あいつめーーー!デレデレしおって!」

グリンディアが悔しそうに言うと、フレアもため息をつきながら呟いた。


「エルフィール、なんで俺じゃなくてオズワルドなんだよー…」


「静かにするんじゃ!尾行してるのがバレてしまう!」と、グリンディアが小声でたしなめる。


「でも…どうしてオズワルドとのデートを許可したんだ?」

フレアが不思議そうに尋ねると、グリンディアは少し困ったように答えた。


「だって、エルフィールが思い詰めた顔してたんだもん…」


「そうか…意外と優しい所あるな…」フレアが感心していると、二人の視線の先で、オズワルドとエルフィールが丘に咲く花々を愛でて楽しんでいるのが見えた。


「楽しそうにしおって!こうなったら風魔法で邪魔をしてやるーーー!」


グリンディアが風を操り、疾風を巻き起こすと、花びらが舞い散り、美しい光景が広がった。


「ははは…とても綺麗だね」

「…そうね」エルフィールも楽しそうに微笑む。


「盛り上がっちゃってるじゃん…」

フレアが呆れたように呟くと、グリンディアは悔しそうに唇を噛んだ。

「くっそー!」




その後、オズワルドとエルフィールは「かぼちゃ亭」と呼ばれる評判のレストランでランチを楽しんだ。しかし、その店はグリンディアにとって、オズワルドと二人で訪れた思い出の場所でもあった。


それを見て、グリンディアは一層焦り始めた。

「きーーー!!ワシと二人の想い出の店なのにー!メシも喉を通らん!」

グリンディアは店の料理をたらふく食べながらそう言った。


「いや、めっちゃ食ってるじゃないか…」フレアは溜息をついた。


「だいたいフレアは良いのか!エルフィールが好きなんじゃろ?」



フレアは少し照れたように言った。

「なんか…エルフィールが嬉しそうにしてるから、邪魔する気にはなれないな…」


「ほーーー愛じゃな」グリンディアがふんわりと笑うと、フレアは顔を赤くしてそっぽを向いた。






その後、オズワルドとエルフィールは魔導書の並ぶ本屋を訪れたり、夕焼けの見える丘で静かに過ごしたりと、一日を満喫していた。そして解散の時間が近づき、エルフィールは名残惜しそうにオズワルドを見つめた。



「今日は楽しかった、ありがとう…」しかし、彼女の顔には一抹の悲しみが浮かんでいた。


「あの…今日は…どうしたの?」オズワルドが尋ねると、エルフィールはためらいがちに話し始めた。


「私…親同士が決めた許婚がいて…」


「い…許婚?」オズワルドは驚いて声を上げる。


「断ることもできないし…だから今日みたいな何でもないデートを一度だけでもしてみたかったの…」


「そうだったのか…」



エルフィールはさらに続ける。

「オズワルドにも許嫁ができたんだよね。だから、こんな機会は二度とないって思って…それで…」



オズワルドは困惑しながらも答えた。

「ご、ごめん…整理すると、僕の許嫁を名乗った女性は…グリンディア様だよ…」


「えっ…?」エルフィールは驚いた表情を浮かべる。


「グリンディア様が秘薬を使って一時的に大きくなっていたんだ」


「え…ええええ?どうしてあの子は…本当に人騒がせなことばかり!」

エルフィールは呆れた様子でため息をつく。



最後に、エルフィールは微笑みながら言った。

「今日はありがとう…楽しかった…いま話したことは…誰にも言わないでね」


「うん…わかったよ…」

オズワルドはそう答えたが、エルフィールが涙を浮かべて足早に去っていく姿を、ただ呆然と見送っていた。




少し離れた場所で、グリンディアとフレアもその様子を見ていた。


「聞いちゃったよ…」


フレアが小さく呟くと、グリンディアも苦笑しながら答えた。


「聞いちゃった…」

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