魔導の継承者と超越者
魔導研究科の第一人者であり、リシアの祖母であるゼフィリアは、「大魔法使い五芒星」の一人として知られていた。
彼女は五人の中で最も魔力値が低かったが、卓越した魔法技術を持ち、その技術力は魔法界でも最高と評価されていた。
ゼフィリアの意思を受け継いだリシアは、決して高くはない魔法力をその技術で補い、洗練されたスタイルで魔法界に革命を起こす新たな光として注目を集めていた。
しかし、そんなリシアの前に現れたのがグリンディアだった。
グリンディアは幼少の頃から、「大魔法使い五芒星」を遥かに超える膨大な魔力を持っており、その圧倒的な存在はリシアが築き上げた地位と新しい波をも掻き消してしまった。
以降、リシアはグリンディアを生涯のライバルと定め、何度も魔法勝負を挑んだが、勝利を手にしたことは一度もなかった。
「なんじゃこりゃあ?」とグリンディアが目の前の魔法を見て興味津々に声を上げる。
リシアは自信に満ちた笑みを浮かべて答えた。
「このチェーンは相手のMPを吸収し、私のものにする魔法よ」
「姉ちゃん、そんな技まであるの!?すごい!」とグリンディアが感嘆しながらチェーンを見つめる。
「ふん!」
「おお!なんか吸われてる感じがする!不思議じゃのう!」
とグリンディアは感心しきりだ。
この魔法でリシアは数多の魔法使いに勝利してきた。相手のMPを奪ってその魔力で戦うこの技は、まるで相手自身との戦いを強いるようなものだからだ。
だが、心の中では焦りが募る。リシアは思う。
(このやり方では、グリンディアには勝てない…)
通常、魔法使いの魔力値とMPは比例することが多い。そして、グリンディアの魔力値は153万なのでほぼ無限のMPを有しているに等しい。彼女の膨大なMPを奪い尽くすことは不可能だった。
(チェーンはあくまでMPの消耗を抑えるため…。今度こそ、あの魔法を決める…!)
試合を見守っていたレオンが口を開いた。「俺もこの技でリシアに負けたんだ。」
「僕もこの技を覚えたいなあ…」とオズワルドが興味津々に呟く。
リシアはグリンディアを睨みつけ、さらに次の技を繰り出す。
「アンタに貰ったMPをさっそく使わせてもらうわ!魔法緊縛術!」
彼女は魔法で作り出したロープを、巧みにグリンディアの身体に巻きつけた。
「こ…これは…?」とグリンディアが驚きながら動こうとするも、ロープはしっかりと体に絡みついていた。
「魔法で実際のロープと同じものを作り出したの。アンタは魔力は高いけど、力は普通の人間と同じ。このロープを切るのはそう簡単じゃないわ!」
「なるほど…流石姉ちゃん!よく考えたなあ」とグリンディアは感心した表情を見せるが、ふとロープを見つめると、ある考えが浮かんだ。
「でもこれ、実際のロープじゃなくて魔法でしょ?姉ちゃんのさっきの技、ちょっと真似させてもらおうかのう」
「な、なんですって?」とリシアが驚く間に、グリンディアは見様見真似でリシアの技を再現し、ロープを自分の魔力に変換して吸収し始めた。
リシアは歯ぎしりしながら呻いた。
「くっそ…!私が歳月をかけて身に付けた技をあっさり真似しやがって…!怪物め…!」
しかし、諦める様子はなかった。(だが、まだあれがある…!)
リシアは地面に小瓶を置き、両手で印を作りながら念を込めた。
「ロープ、消えたよ!」と得意げにグリンディアが笑顔で言う。
「グリンディア、あんたは本当にすごい魔法使いだわ」リシアが冷静な口調で言う。
「へへへ、どうもどうも!」
「でも、今日勝つのは私よ!アンタに勝つために、習得した技がある!」
とリシアの瞳が一瞬鋭く光る。
レオンが試合を見守りながら低くつぶやいた。
「遂にあれをやるのか…」
「ムフフ。姉ちゃんが何をしてきてもワシは負けないよ!」
「この技はね、相手の魔力に関係なく、確実に相手を倒す事ができる。まさに、アンタを倒すためにあるような技よ」
グリンディアが不思議そうに首をかしげた。「なんじゃと…?」
リシアは強烈な気迫と共に一気に魔力を解き放ち叫んだ。
「大魔封印術!」
瞬間、手のひらから放たれた眩い光がグリンディアを包み込みんだ。




