結界の中で始まる波乱の朝!
魔法学園の郊外学習。夜が明けるころ、オズワルドとグリンディアは結界で守られた小さな家の中で、すやすやと眠りについていた。結界は外からの干渉を防ぐだけでなく、内部は快適な空間が広がっており、彼らは安心して夜を過ごしていた。
――朝方、フレアとエルフィール率いるチームがその結界に近づいてきた。フレアは結界をじっと見つめた後、決意を固めたかのように、突然よじ登り始める。
「俺は岩登りが得意なんだ…この程度の結界、軽く登れるさ」
自信満々に呟くフレアは、器用に結界を登っていく。そして、結界の上にたどり着くと、小さな窓のような隙間を発見した。
「へへ、ご丁寧にも窓穴があるじゃないか。ここから中が見えるかもな…」
そう言ってほくそ笑むと、彼は中を覗き込んだ。そこに見えたのは、足の一部だった。
「お、足が見える。どうやら…寝ているようだな…」
フレアはじっと観察していたが、次第に表情が硬くなり、やがて驚愕の表情に変わった。
「ん…んんんんん!?ま、待て、足が…4本?ひょっとして…一緒に寝てるのか!?」
突然飛び退いたフレアは信じられないというように目を見開き、息を呑んだ。
「仲良いとは思ったが…ど、どんな関係なんだよ…あいつら…!」
下で待っていたエルフィールが声をかける。
「どんな感じ?」
フレアは慌てた様子で「てっ撤収だ!」と叫ぶ。
「ここは危険だ…あいつら、なんか凄い魔法を用意してる…!」と
適当な言い訳をし、急いで結界から降りる。
「えっ?魔法?」
とエルフィールは怪訝な顔をしたが、フレアはそれを無理やり無視して撤収を主張し、二人はその場を立ち去った。
――結界の中では、オズワルドが朝の気配で目を覚ました。
「ふぁーーーー…」と大きなあくびをしながら体を起こし、横を見ると驚いた。
「うわ…!グリンディア様、また僕の横で寝てる…近い…!」
無防備に眠る彼女を見て、オズワルドは心の中で動揺した。
(相変わらず…び…美少女だなあ…って、いかんいかん…)
顔を赤くしながらも、そっと立ち上がり、彼女を起こさないよう気を使った。
「まだ寝かせておいてあげるか。なんだか汗っぽいし、僕はお風呂でも浴びようっと」
静かにお風呂場に向かい、身支度を整えたオズワルド。さっぱりとした気分でお茶を沸かして待っていたが、グリンディアはまだ起きてこなかった。
「ええっと…グリンディア様ー、朝ですよー…」
彼は優しく声をかけるが、グリンディアはまだ寝ぼけていた。
「ぐががが…ぐ…まだ眠い…」
「そろそろ、起きてくださいよー」と再度促したが、グリンディアは目をこすりながら指を鳴らし、軽く魔法を使った。
「眠い…オズも…もうちょっと寝よう」
その瞬間、オズワルドは彼女の睡眠魔法にかかり、再び眠りに落ちた。
――一方、フレアとエルフィールのチームは、他のチームと交戦を迎えていた。
幸運にも、全員無事に魔法の紙を守り抜き、進行は順調だった。
「フレアの判断のおかげよ」とエルフィールが感謝の言葉を口にすると、フレアは気まずそうに返した。
「ああ、そうだな…」
「でも、なんだか上の空じゃない?グリンディアたちの結界を偵察してからずっと…そんなに凄い魔法だったの?」と尋ねるエルフィールに、フレアは微妙な表情で答えた。
「あ、ああ…そりゃあ…とんでもない物凄い魔法だったさ…」
(本当のことは言いづらいな…)
――やがて正午が近づき、ようやくグリンディアが目を覚ました。
「グガガガ…ううん…お腹空いたー。オズ、ご飯作ってー」
彼女はオズワルドを揺り起こすと、オズワルドは目をこすりながら目を覚ました。
「ふわああ…って、グリンディア様の魔法で寝ちゃってた…!」
「ごめん、眠くってつい…睡眠魔法かけちゃった…」
「もー、すっかりお昼じゃないですか。グリンディア様、寝すぎですよ」
グリンディアは少し恥ずかしそうに言い訳をした。
「だって、オズが…昨日変な夢を見るからー…そ…その…」
「ん…んん…?」オズワルドは困惑しながら頭をかいた。
(言われてみれば、確かに昨夜はとんでもない夢を見たような気が…)
「えっと…オズが…寝言で私の名前を呼んでたから…ちょっとだけ夢を覗いちゃった…」
「えええっ!?そ…そんなこともできるんですか!?それは…それは申し訳ありません…!」
オズワルドは慌てて謝ったが、グリンディアはそっぽを向いて顔を赤くしていた。
二人の間には妙な空気が流れ、オズワルドは緊張してゴクリと唾を飲んだ。
するとグリンディアは照れ隠しのように言った。
「ワシ、お風呂に入ってくるから、オズはご飯の用意してて!覗くなよー!」
「は…はい、わかりました!」
――しばらくして、グリンディアが入浴を終えると、オズワルドは外で昼食の準備をしていた。パンとボアのベーコン、そしてお茶を用意し、素朴な食事を楽しんだ。
「美味しい!ベーコンもパンも、すごく美味しいよ!」
グリンディアは感激しながら食べ、オズワルドは嬉しそうに笑った。
「ははは。ありがとうございます♪」
「それにしても、ワシらこの郊外学習はほぼキャンプに来たのと変わらんな…」
グリンディアは不満そうに呟いたが、オズワルドは苦笑しながら答えた。
「それは、グリンディア様の強力すぎる結界があるおかげですよ」
「これなら、ほっておいてもワシらのチームの優勝じゃろ?」
「残念ながら、優勝は無理でしょうね」とオズワルドは肩をすくめた。
「なんでじゃ?」
「だって、この郊外学習のルールは、魔法の紙が残った枚数で勝敗を決めるんですよ。僕たちは二人だから最初から二枚しかないんですし…」
「む…たしかに、そうじゃな…」
グリンディアは少し肩を落としたが、再び食事に集中し始めた。
果たして、この郊外学習の結末はどうなるのか…?




