魔法学園のサバイバル郊外学習!
教室に張り詰めた静けさの中、マシュ先生が前に立って話し始めた。
「来週から郊外学習があります。皆さん、体調には十分気をつけて準備を進めてくださいね。」
オズワルドは席に座ったまま、心の中で大きなため息をついた。
(郊外学習か…正直、気が進まないな。みんな、僕と同じチームになるのを嫌がるし…どうせ居場所がなくて辛いだけだ…)
オズワルドは、これまで何度もそんな思いを経験していた。役に立とうと料理や雑用を頑張っても、チーム仲間から怪訝な目で見られることばかり。彼の心には自然と陰りが生じていた。
(もう、いっそのこと休みたいくらいだ…)
そんなオズワルドの憂鬱な思考を断ち切ったのは、明るい声だった。
「はーい!先生!ワシはオズとチームになるー!」とグリンディアが元気よく手を挙げる。
教室中が一瞬にしてざわついた。彼女の言葉が響く中、オズワルドは戸惑いながらも答えた。
「まあ…従者が主人と同じチームになることは、特別に許可されていますからね…」
その言葉を受け、オズワルドは心の中でふつふつと感謝の念を抱いた。誰も彼を望んでいないと思っていたのに、グリンディアだけは彼を選んでくれたのだ。
「グリンディア様…ありがとうございます…僕はアナタに一生の忠誠を…」
しかし、彼がそう告げると、グリンディアは顔を真っ赤にして慌てふためいた。
「な、なんじゃいきなり…!!」
――ギョウダァ魔法学校の郊外学習は、学校に隣接する小島で行われる恒例の行事である。三つのクラスが合同で、ランダムに六人ずつのチームを組み、サバイバルしながら魔法で競い合う。
この授業の主な課題は、チームワークと魔法を駆使した食料集めだ。
各生徒には魔法が付与された紙が配られ、使用できる魔法は最低ランクの攻撃魔法に限られている。
もしも魔法攻撃を受けると、その紙が破れ、その時点で失格となる。
また、規定外の魔法を使うと紙は自動的に破壊され同様に失格となる。
最終的に、紙が最も多く残っていたチームが勝利する。
――郊外学習当日
「私のチームはどんな人たちかしら…」
エルフィールが遠くを見つめながらつぶやく。
フレアがその言葉に勢いよく反応する。
「やった!エルフィールと一緒のチームだ!!」
エルフィールは顔をしかめた。
「げーーーっ!フレアと一緒?」
「俺、エルフィールのために頑張るぜ!」
フレアは満面の笑顔で言ったが、彼女の反応は冷たかった。
――郊外学習が始まり、オズワルドとグリンディアは二人でさっそく食料集めに出かけた。
オズワルドはグリンディアの従者だったのと、グリンディアの希望もあり特例的に二人のみでチームを組むことを許可された。
「うわっ!ボアが突進してきた!」オズワルドが叫ぶ。
「ふん…アイススピア!」
グリンディアは冷静に魔法を唱えると、巨大な氷の槍がボアに突き刺さり、一瞬で仕留めた。
「すごい…一撃で仕留めましたね…」オズワルドは目を見開いたまま、彼女の腕前に感嘆する。
「今日の夕飯のメインディッシュじゃな♪」
グリンディアは得意げに笑う。
――二人は他のチームと遭遇することなく、夕方近くになると野営の場所を探し始めた。
「今日の野営の場所はこのあたりにしますかね。」
オズワルドが提案すると、グリンディアは頷いた。
「よし、ワシが結界を張るから、オズは見張っててくれ。」
彼女はすぐに魔法を唱え始めた。
オズワルドは、結界を張るグリンディアを尊敬の眼差しで見守った。
「結界を作れるなんて流石グリンディア様…」
3分後、透明なガラスのような結界が張り巡らされた。
「これで安心じゃ。」と、グリンディアは胸を張る。
オズワルドは恐る恐るその結界に触れた。
「うわっ!この結界、まるで鉄のように硬い…!」
グリンディアは誇らしげに笑う。
「ワシが本気で作った結界じゃ。これを壊せる者は、ピピンお祖母様くらいじゃろうな。」
「これは…心強いですね。」
オズワルドがそう答えると、グリンディアはさらに言葉を続けた。
「これだけではまだ足りん。もう一個、特別な結界を作るんじゃ。」
「えっ、もう一個ですか?」オズワルドが驚いて問い返す。
「そうじゃ。この次の結界は少し構造が複雑で、さっきより時間がかかる。オズは夕飯の準備をしておいてくれ。」そう言ってグリンディアは再び魔法を念じ始めた。
オズワルドは戸惑いながらも、食材を整理して夕飯の準備を始めた。
すると10分ほど経った頃、地面が震え始め、巨大な建造物が現れた。
「えええええ!?これ…本当に結界ですか?ほぼ家じゃないですか!」
オズワルドは驚愕して叫んだ。
その結界は、単なる透明な壁ではなく、壁にしっかりと色がついていて、まるで簡素ながらも立派な家のようだった。まさか魔法でこんなものが作れるとは、彼は夢にも思わなかった。
「ふふ、魔法技術があれば結界に色をつけることもできるんじゃ。」
グリンディアは誇らしげに微笑んだ。
「すごい…これが結界だなんて信じられません。中を見てもいいですか?」
オズワルドは恐る恐る尋ねた。
「もちろん♪」
二人はその家のような結界の中に入った。中はまるで実際の家のようで、キッチンさらにはお風呂まで完備されていた。
「すごい…ちゃんとした家になってる…」
オズワルドは感動して呟いた。
「お風呂もあるぞ、水魔法と火の魔法を使えばいつでも入れる。今夜はここでのんびり過ごせるぞ♪」
グリンディアは嬉しそうに説明した。
「もうなんでもありですね、グリンディア様…」
オズワルドは呆然としながらも笑った。
「ワシはちょっと疲れちゃったから、お風呂に入って休むぞ♪ 覗くでないぞ、オズ♪」
「は、はい…!」
オズワルドは夕食の準備に取り掛かった。




