赤すぎる夕焼けと運命のご褒美
夕暮れの道を、オズワルドとグリンディアは並んで歩いていた。
魔法学園の四天王との魔法力勝負に圧勝した帰り道。静かに揺れる木々の葉が風に舞い、夕日が彼らを金色に包んでいる。
だが、二人の間にはそれ以上に特別な空気が漂っていた。
グリンディアは、戦いの中でオズワルドが自分を守るために身を挺してくれたこと、そして「命をかけて守る」と誓った言葉が心の中に焼きついていた。その胸の熱さに突き動かされるように、彼女はふと立ち止まり、近くの木陰へとオズワルドを導いた。
「オズが本気でワシを守ってくれたから…ご褒美をあげたい…」
と彼女は少し恥ずかしそうに口を開いた。
「キスしてあげたい………ほっぺに…」
オズワルドの顔に驚きが広がり、次にそれは戸惑いに変わった。
「本当に…ですか?」
グリンディアは笑みを浮かべて、「オズが喜ぶなら…」と優しく答えた。
オズワルドの体が緊張で固まる。
「僕は…僕は…と、とても嬉しいです。よろしくお願いします!」
「っぷ…」グリンディアは思わず笑ってしまう。
彼の真剣な顔とぎこちない言葉に、緊張感が少しだけ和らいだ。
「しゃがんで…オズ…」
と彼女が言うと、オズワルドは素直にその言葉に従い、ゆっくりとしゃがみ込んだ。
グリンディアは、しゃがんだオズワルドをそっと抱き寄せ、優しく囁いた。
「ワシこんなのはじめてだから…どうすればいいか、よくわからないけど…」
「僕も…です…」オズワルドの声は震えていたが、同じように胸の高鳴りを感じているのは彼女も同じだった。
二人の心臓は、まるで競い合うかのように早鐘のように鳴り響いていた。
そして、グリンディアはそっとオズワルドの頬に唇を寄せた。柔らかな感触に、二人の鼓動はさらに高まる。
キスが終わっても、グリンディアはそのままオズワルドを抱き寄せ、彼の顔をじっと見つめていた。
二人の顔はほんのわずかに離れているだけで、もう少し動けば、唇同士が触れてしまうほどの距離だ。
(オズ…)とグリンディアは心の中で呟く。
(グリンディア様…)オズワルドも同じく心の中で彼女の名前を呼んでいた。
そんな微妙な瞬間に、馬の嘶きが響いた。ヒヒーンと大きな音を立てて、荷馬車が通り過ぎる。
驚いたグリンディアはバランスを崩し、前のめりに倒れ込んだ。
結果的に、二人の唇が軽く触れ合ってしまった。
グリンディアは急いで立ち上がり、顔を真っ赤にして自分の唇に手を当てた。
「ご…ごめん…」と、まるで謝るように小さく言った。
オズワルドは驚きながらも、「そ…そんな…」と戸惑いの声を漏らす。
「ワシ…初めて…キスした…」とグリンディアがぽつりと言うと、オズワルドも静かに答えた。
「僕も…です。」
しばらくの間、沈黙が二人の間に流れた。
しかし、その沈黙は決して不快なものではなく、むしろ二人をさらに近づけるものだった。
やがて、グリンディアは勇気を出して尋ねた。「嫌だった…?」
オズワルドはすぐに首を横に振り、顔を赤くしながら言葉を紡ぐ。
「グリンディア様のような…優しくて可愛くて素敵な方と…僕は…僕は…」
彼の頬に涙が一筋流れた。
グリンディアは照れ笑いを浮かべ、いたずらっぽく言った。
「オズがまたワシを守ってくれたら、いつでもご褒美あげるよ…」
夕焼けが二人を優しく包み、空は金色に輝いていた。




