魔法学校の学園祭!秘策は氷菓子にあり!
ギョウダァ魔法学校の30周年を祝う学園祭が、いつもより一層華やかに幕を開けた。初夏の風がそよぐ校庭は、色とりどりの旗や魔法で輝く装飾で埋め尽くされ、生徒たちの笑顔があふれている。あちらこちらに立ち並ぶ出店からは、香ばしい匂いや甘い匂いが漂い、楽しげな声が途切れることなく続いていた。
中でも注目を集めていたのは、オズワルドのいるグリフォン組のブース。
そこには見たこともない珍しいお菓子があると、その評判は瞬く間に広がっていた。
「グリフォン組で、何やら見たことのないお菓子があるって聞いたよ!」
一人の女子生徒が、友人に興奮した声で話しかける。
「氷の上に果物や蜂蜜を乗せた不思議なデザートらしいわ♪」
もう一人の生徒も目を輝かせながら答え、二人は急いでグリフォン組の教室へと足を向けた。
噂が広がるのは早く、教室の前にはすでに長蛇の列ができていた。列の先頭に近づくと、やっと目に入ったのは一皿の美しい氷菓子。それは、透明な氷の上に色とりどりの果物が乗せられ、まるで宝石のように輝いていた。
「はい、どうぞ!」
ブースの中から差し出されたその氷菓子を手に取った女子生徒は、目を輝かせながら一口食べた。
「これは…!なんて溶けるような美味しさ!」
口の中で広がる冷たさと甘さのハーモニーに、彼女は感動の声をあげた。
隣で手伝っていたグリンディアが満足そうに頷き、オズワルドに話しかける。
「氷菓子、大人気じゃな!」
「グリンディア様のおかげでこの氷菓子を思いついたんです。しかもグリンディア様の氷魔法で作った雪の上に果物を乗せるだけで、こんなに簡単にできるんですから!」
「へへーん♪ワシ、天才じゃろ?」
グリンディアは笑いながら、自信満々に胸を張る。
「はい、もちろんです♪」
オズワルドも冗談を交えながら返した。
そこに、別の女子生徒が現れ、笑顔で言った。
「この氷菓子、ヤーキバソを食べた後にもぴったりね!」
それを聞いたオズワルドは、作戦通りとにっこり微笑んだ。
その時、クラスメイトのジェリコが大声で笑いながら騒いでいた。
「ははは!ヤーキバソ、売れに売れてるぞ!これで、オズワルドの氷菓子に勝ったな!」
ジェリコは得意げに言うが、隣の女子が手をひらひら振りながら言った。
「いいから、焼くの手伝ってよ!」
「は…はい!」ジェリコは慌てて戻っていった。
オズワルドは、ジェリコを横目に笑いながら、楽しそうに言った。
「氷菓子の前にヤーキバソを食べるのもおすすめですよー!」
ジェリコはその言葉に反応し、悔しそうにうめいた。
「あいつ、勝負だって言ってるのに…!くっそー」
しばらくして、母親に連れられた小さな男の子が、氷菓子に興味を示した。
「僕、これ食べたい!」
母親は少し驚きながらも微笑み、息子に言った。
「まあ、珍しいお菓子ね」
グリンディアが笑顔で前に出て、魔法を使いながら軽やかに言う。
「どれどれ、ワシが作ってやるぞ♪」
雪氷に具材を乗せ瞬く間に美しい氷菓子が出来上がり、それを見た男の子は目を輝かせながら一口食べた。
すると、その小さな顔が一気に明るくなり、嬉しそうに叫んだ。
「ありがとう♪お姉ちゃん!すっごく美味しい!」
その姿を見たオズワルドとグリンディアは、胸の中に温かい感動が広がっていくのを感じた。
──夕方、学園祭の一日目が終わり、夜の校庭では大きな焚き火が焚かれ、生徒たちは音楽に合わせて楽しそうに踊っていた。オズワルドとグリンディアは少し離れた場所からその光景を眺め、静かに話していた。
「結局、今日の勝負って何だったんでしょうね?」
オズワルドが呟くと、グリンディアは肩をすくめて笑った。
「そんなのどうでもええじゃろ。楽しかったし♪」
「そうですね♪」
オズワルドも微笑んで同意した。
「だいたい、この学園のやつらは勝負、勝負ってめんどくさいんじゃ。」
「ははは、全くその通りですね。」
ふと、グリンディアが広場で踊る生徒たちを見つめ、目を輝かせた。
「このダンス、簡単そうじゃ。一緒に踊ろう?」
「え?踊るんですか?」
「ほら、立て立て!」
グリンディアに手を引かれ、オズワルドは立ち上がり、二人でぎこちなくも楽しそうに踊り始めた。
踊りながら、グリンディアがぽつりと呟いた。
「あのね…ワシ、将来はお菓子屋さんになるのも悪くないかなって思った♪」
オズワルドは少し驚いて彼女を見つめた。
「それは素敵ですね。僕が一緒にお菓子の作り方を教えますよ!」
「ばーか♪」
グリンディアは少し顔を赤らめ、オズワルドの胸を軽く叩いた。
「えっ?」
オズワルドは戸惑いながら彼女を見つめる。
すると、グリンディアはさらに顔を赤くし、聞こえないくらいの小さな声でこう続けた。
「オズの…隣でじゃ」
「え?今なんて?」
オズワルドが聞き返すと、グリンディアは素早く顔を背け、
「なんでもない♪」と照れながら返事をした。
学園祭の夜が更け、焚火の明かりが二人の姿をほのかに照らし続けていた。




