プロポーズと母の温もり
夜が迫る頃、オズワルドとグリンディアは一緒に家へ戻ってきた。二人は昼から町近辺を歩き回り、特別な時間を過ごしたばかりだ。オズワルドは満足げに口笛を吹きながら家に入るが、一方のグリンディアは顔を真っ赤に染め、そわそわとしていた。心臓の鼓動は早まり、戸惑いと緊張が混じった感情が胸に渦巻いている。
――家に入ると、夕食の準備が整い、家族は食卓に集まっていた。いつもの温かい雰囲気が漂う食卓に、オズワルドとグリンディアも席に着く。母が優しい笑顔で声をかけた。
「今日のお出かけはどうだったの?」
その穏やかな声は、部屋全体にさらに和やかな空気を広げる。
「グリンディア様がかぼちゃ亭を気に入ってくれたよ♪」
オズワルドは嬉しそうに母に答えた。
「それは良かったわね♪」母も満足そうに頷く。
父もその会話に加わる。「かぼちゃ亭はいいお店だろう?今度は家族みんなで行こう♪」
しかし、グリンディアは父に話しかけられても反応が鈍く、ただ曖昧に「う…うん…」と返すだけだった。彼女の心は、今日オズワルドと過ごした出来事にすっかり囚われていた。
――夕食が終わり、家族が片付けを始めると、グリンディアは心の中に渦巻く感情をどうしても抑えきれず、そっと母に声をかけた。
「あの…お母様…後でお話してもいい?」
母は少し驚いたが、すぐに優しい微笑みを浮かべて答えた。
「もちろんよ。寝る前に私の部屋にいらっしゃいな♪」
――夜が更け、家の中が静まり返った頃、グリンディアは母の部屋を訪れた。ドアをそっと開け、緊張した面持ちで入ると、母が優しい目で迎え入れてくれた。
「お母様、実は…今日オズとデートして…その…もしかして、プロポーズされたんじゃないかって…」
グリンディアの声は震えており、彼女は恥ずかしさから目を伏せたままだった。母は驚いた様子で息を飲んだ。
(プロポーズ?あの子…ずいぶん思い切ったわね…)
「オズに『一生アナタのために生きたい』って言われたんだけど、私たち、まだ若いし…そんなこと急に言われても…」グリンディアは顔を真っ赤にしながら話し続ける。
(オズワルドがグリンディアに伝えたのは本来は「一生アナタの従者でいたい」であったのだがグリンディアはそう判断した)
母は心の中で驚きながらも、優しい声で答えた。
「アナタたちはまだ若いわね。でも、オズワルドがアナタをそれほど大切に想っているなんて、とても素敵なことだと思うわ」
「うん…」グリンディアは小さく頷く。
母は優しく彼女の手を握り、温かい笑みを浮かべて言った。
「二人がいつか結ばれることになったら、私はとても嬉しいわ♪」
「お母様…本当に?」グリンディアは驚いた顔で母を見つめた。
「もちろんよ♪オズワルドはアナタのためなら何でもする子。もし二人が結ばれたら、毎日美味しいお菓子を焼いてくれるんじゃないかしら?」
冗談交じりの母の言葉に、グリンディアは思わず顔をほころばせた。
「うん♪オズはいつもワシの為に頑張ってくれるよね…」 彼女は少し照れながら微笑んだ。
(た…たしかにオズは一生ワシに尽くしてくれると思うし…悪くないかも…)と、心の中でふと思う。
母の温かい言葉に包まれ、グリンディアの心は次第に落ち着きを取り戻していった。心に溜まっていた不安が少しずつ解けていく。
(オズワルド!絶対にグリンディアちゃんと結ばれるのよ!そして魔王の血筋の復活よ♪)
母の内心ではそんな思いが広がっていたが、グリンディアには気づかれないように、さらに穏やかな笑顔を浮かべるだけだった。
「ふふふ♪」「うふふ♪」
図らずも、母とグリンディアの利害は一致していた。
その後、グリンディアは少し恥ずかしそうに小さな声で尋ねた。
「あの…お母様、今日は一緒に寝てもいい?」
母はすぐに温かい笑みを浮かべて頷いた。「うふふ♪もちろんよ♪」
二人は布団に入り、寄り添いながら穏やかな夜を過ごした。母の温もりに包まれたグリンディアは、次第に心が落ち着き、安心して眠りに落ちていった




