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オズワルドの淡い期待

「オズ♪シチューを食べさせてあげる♪」

グリンディアの甘い声が耳に残る。目の前には、優雅に微笑む彼女の姿があった。

「あああ…グリンディア様…いけません…僕はアナタの従者なのですから…」


オズワルドは困惑し、戸惑いの色を隠せない。だが、その声にはどうしようもない甘さが滲み出ていた。

「あ~んじゃ♪」

グリンディアは優しくスプーンを差し出す。

オズワルドはその誘惑に逆らえず、ゆっくりと口を開いた。


「あ…あ…美味しい」

その瞬間、彼の心は完全にとろけてしまった。



「んん…なんて夢だ…」オズワルドは目を覚ました。

彼の耳には、まだグリンディアの甘い声がこびりついている。寝ぼけた頭を振りながら、彼はベッドの上で体を起こした。


「こんな夢をみちゃうなんて…従者失格だよ…」


だが、ふと隣を見た瞬間、オズワルドは固まった。そこには、夢の中と同じように無邪気に寝ているグリンディアの姿があった。


「っているじゃん!」

彼女は彼のベッドの上ですぐ横にいて、まだ眠りの中にいるようだ。


「あの…グリンディア様…朝ですよー。」


彼は恐る恐る声をかけたが、グリンディアはまだ眠そうにしている。しかし、次の瞬間、彼の心に一瞬の動揺が走った。

(しかしグリンディア様…見れば見るほど美少女だなあ…)


「ふわーーーっ」


突然、グリンディアが大きなあくびをしながら目を覚ました。


「うわっ!」


オズワルドは驚き、少し後ずさりする。グリンディアは無邪気に微笑みながら言った。


「オズ、起きたかー。おはよ…先に起きたからオズの部屋を見に来たら、オズが寝てたから、また眠くなって一緒に寝てしまったんじゃ…」


「そ…そうだったんですか…」


オズワルドの心臓は早鐘を打ち、顔が赤くなるのを感じた。



「今日のお母様が作ってくれる朝食も楽しみじゃなー♪」


グリンディアは無邪気な声で続けるが、オズワルドは焦りながら言った。


「あの…グリンディア様のようなうら若き乙女がですね…その…男性の隣で眠ってしまうなんて…」


しかし、グリンディアは彼の言葉を気にする様子もなく、いたずらっぽく笑う。


「なんでじゃー?」


「ほら…僕だって一応は男の子なわけでして…」


「オズはワシが横で寝ていると何かあるのか?」


グリンディアの無邪気な返答に、オズワルドは思わず苦笑してしまう。


「えっと…ガオーって…」


「ガオーっ♪」


冗談半分で言ったつもりだったが、グリンディアは突然狼のようにオズワルドの肩に噛みついた。


カプッ


「いててて!」


痛みを感じたはずなのに、オズワルドはなぜか心が落ち着かなかった。

でも、嫌な感じではなく、少し嬉しい気もする。不思議な気持ちに戸惑いながら、頬が赤くなるのを感じた。



「グリンディアちゃん♪オズワルド♪朝ご飯よー♪」

グリンディアの母親が階下から声をかける。


突然、階下からグリンディアの母親の声が響く。


「はーい♪今いきます♪」

グリンディアはその声に反応し、魔法を使って宙に浮きながら一階のリビングへと向かっていった。


「すごい…ホウキも無しに浮いてる…」


オズワルドは驚きつつも、彼女の後を追いかけた。




――朝食の席で、オズワルドはぼんやりと考えていた。


「あらっ?オズワルド何をぼーっとしてるの?」

グリンディアの母が声をかける。


「な…なんでもないです…」

「ははは。オズワルド、よく寝れなかったのかい?」

父親が気遣わしげに尋ねる。

「そんな感じ…」


彼は無意識に答えたが、その心は夢の中の甘美な瞬間に囚われていた。


「お母様♪このクルミパン美味しい♪」

グリンディアはにこにこしながらパンをかじる。


「あらー♪グリンディアちゃん良かったらおかわりもあるわよ♪」

彼女の無邪気な笑顔に、オズワルドの胸は温かくなる。



――食事を終え、オズワルドはいつものようにグリンディアを背負って登校した。

校舎に入ると、廊下を通り抜け、クラスメートたちの視線を感じながら教室の扉に向かう。


(ジェリコとの魔法勝負に勝利した事でクラスでの風向きが変わっているかもしれない)

彼は淡い期待を胸に教室の扉を開いた。


「あの…おはようございます…」


教室に入ると、クラスメートたちが一斉に彼に注目する。

「オズワルド!まさかジェリコに魔法勝負で勝つなんて凄かったよ!」

「見直したよオズワルド!」「凄いよ!オズワルド!」「オズワルド!」


彼の心は一瞬高揚したが、それは彼の妄想に過ぎず、すぐに消え去った。



「オズ?なにをニヤニヤしておるんじゃ?」

グリンディアが彼の肩を叩きながら尋ねた。


「いえ…これは…その…今日も学校生活が始まるなあって…」

「ほ~~」

グリンディアはその答えに納得しないように見えたが、深く追及はしなかった。



オズワルドは先ほどの妄想を振り払いつつ、淡い期待を胸に気を取り直して教室の扉を開けた。

「あの…おはようございます…」


クラスメートたちは一斉に彼を見つめたが、次の瞬間、いつも通りの静けさが教室に戻った。

(やっぱりこんなもんだよね…トホホ)



「ねえオズワルド…」


その時、後ろから声が聞こえた。振り返ると、エルフィールが立っていた。


「エルフィール。おはよう」

「…おはよう。オズワルドは今日の放課後時間はある?手伝って欲しい事があって…」


しかし、その時別の声が割り込んだ。


「オズ!今日の放課後は街を探検するぞーー♪」

「は、はい!わかりました。」


「ごめん。エルフィール。今日の放課後は用事があって…」

「そ…そう…」


「それと…魔法勝負…おめ…」


しかし彼女の言葉は最後まで言い終えることができなかった。


「オズーーー♪今日はランチにチキンソテーをゲットするぞ!作戦会議じゃ♪」

「えええ。それは難しいんじゃ…」

オズワルドは戸惑いながらも彼女の元へと急いだ。


エルフィールはその背中を静かに見送った。彼女の表情は複雑だった。




――一方、オズワルドとグリンディアが教室で楽しそうに話している様子を、廊下の陰から見つめる生徒がいた。

その生徒は興味深そうに微笑みながら二人を観察していた。



「へえ…あのグリンディアって女の子、可愛いじゃん。従者のオズワルドか。面白いやつだな」

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