不死身を超えろ!消えゆく魔物、不滅の想い
夕方、沈みゆく太陽が川辺を橙色に染める中、オズワルドは肩で息をしながら不死身の魔物バロルを睨みつけていた。その手には小型化されたグリンディアが閉じ込められた瓶が握られている。
瓶の中でグリンディアは必死にもがいていた。
「しつこいやつだな…俺と同じで不死身か?」
バロルは不敵に笑いながら、オズワルドの執念深さに呆れているようだった。
だが、オズワルドは立ち止まらない。全身に黒いオーラを纏いながら何度も挑みかかる。しかし、その度にバロルに叩きつけられ、地面に転がる。額から血が流れ、体は悲鳴を上げていた。それでも、彼は歯を食いしばり、立ち上がる。
バロルは小瓶をオズワルドに見せつける。
「ほら、見てみろ。お嬢ちゃん泣いてるだろ?お前が無理するからだぞ。命は取らないから去れ。」
瓶の中のグリンディアは泣きながら小さな手で瓶を叩き続けている。
(オズ…逃げて…ワシはもう…どうなってもいいから…)
その姿を見たオズワルドの胸には、怒りと悲しみが燃え上がった。
「こんな訳の分からない奴に…グリンディア様との…何でもない日常が壊されるなんて…絶対許さん!!」
黒いオーラがさらに激しく燃え上がり、オズワルドを包み込む。それはただの魔力ではなかった。何か禍々しい力が彼を突き動かしていた。
「お前のような奴がいきなり出てきて…グリンディア様を連れて行くなんて…そんな事をさせてたまるか!!!」
怒りに満ちた叫びとともにオズワルドは拳を振り上げ、全力でバロルを殴りつけた。その一撃は今までとは違い、バロルに確かな痛みを与えた。
「いってええええええ!!」
バロルは叫びながら後退した。
「くっそ…なんだコイツ…ここにきてもっと強くなってるじゃねえか…めんどくせえ!!!」
しかし、バロルも反撃に出る。「ファイヤーキャノン!!」
巨大な炎の球がオズワルドに向かって放たれる。しかし、オズワルドはそれを軽快にかわし、バロルの懐に飛び込む。そして魔力を込めた拳を再び叩き込む。
「このヤロウ…!」
バロルは耐えながらも、不安を隠しきれなかった。オズワルドの攻撃は確実に効いていたのだ。
「俺は不死身だ!お前がいくら攻撃しても無駄なんだよ!」
だが、オズワルドは冷笑を浮かべた。「じゃあこうしてやるよ…」
そう言うと、彼はバロルの背中に飛びつき、肩に噛みついた。バロルは驚き、激しく暴れる。
「このヤロウ!何しやがるんだ!」
オズワルドは噛んだ部分からバロルの魔力を吸収し始めた。
「こ…こいつ…何してやがる…」
バロルは次第に弱っていく自分に気づいた。
「ちくしょー…卑怯だぞ…なんだこの戦い方は…」
オズワルドの黒いオーラはさらに強くなり、彼の体を包み込む禍々しさは増していく。バロルは必死に抵抗するが、魔力を吸い取られるたびに力を失っていく。
「やべえ…このままじゃ消えちまう…逃げるしかない…」
最後にそう呟き、バロルは黒い気体状になり、その場から消え去った。彼の手からグリンディアが入った小瓶が落ち、地面に転がると同時に割れた。
「やっと瓶から出られた!」
元の大きさに戻ったグリンディアは辺りを見回すと元の姿に戻ったオズワルドが倒れていたので、すぐに駆け寄った。
「オズ!大丈夫か!」
オズワルドはゆっくりと目を開け、弱々しく微笑む。
「グリンディア様…出られたんですね…よかった…」
グリンディアは涙を浮かべながら、オズワルドを強く抱きしめた。
「ありがとう…オズ…お主のおかげで助かったんじゃ…」
オズワルドはそっと彼女の頭を撫でながら、かすかな声で答えた。
「僕はグリンディア様の従者ですから…当然のことですよ…」
グリンディアは彼の言葉に深く頷き、涙を拭った。
「うん…オズ…お主と出会えて…本当に良かった…」
沈む夕陽が二人を包み込み、静かな川のせせらぎが遠くで聞こえていた。
今回の戦いで現れた強力の冥界からの魔物と、オズワルドの変化。すべてを考えながらも、グリンディアは一つの想いを胸に抱いた。
——オズワルドに、この気持ちを伝えたい。




