最強魔法少女vs不死身の魔物。そして絶望の戦い
夕暮れの川辺は赤く染まり、戦いの舞台として不釣り合いなほど静かだった。しかし、その静寂を切り裂く魔力の激突が繰り広げられていた。
「サンダーサーベル!!」
グリンディアの叫びと共に、天空から降り注ぐ雷の刃がバロルに命中した。
「おわああああああ!」
激しい衝撃でバロルの巨体が地面に叩きつけられる。だが、彼は立ち上がった。裂けた皮膚が瞬時に修復され、その姿は不気味なほど変わらない。
「いってえええええ!くっそーーー!」
バロルは額に浮かぶ汗を手で拭いながら怒鳴った。グリンディアは軽く息を吐き、冷静な視線を彼に向ける。
「もう…お主に勝ち目はないじゃろ…大人しく帰れ!」
グリンディアは眉間にしわを寄せながら口を開いた。
しかしバロルは首を振り、剣呑な笑みを浮かべた。
「王に命令されてるからな…そうもいかないんだよ…うおおおお!」
突進してくるバロルを前に、グリンディアは冷静だった。だがその戦い方はまるで猪武者。彼の戦術は単純で、持ち前の不死身の能力に任せ、ただひたすら力で相手を押しつぶすのみ。
「こうなったら…魔法カッター!」
グリンディアの魔法が円状の刃を描き、バロルの身体を上下に切り裂いた。
「ぐあああああ…」
大地に転がるバロルの半身を見下ろし、グリンディアはつぶやいた。
「さすがに…これで終わりじゃろ…」
だが、バロルの上半身が腕を使って移動し、下半身を引き寄せると、再び体が元通りになった。
「くっそーー…いてててて…なんて事しやがる…」
グリンディアは驚愕の表情を浮かべる。
「こ…こいつ本当に不死身じゃな…だが攻撃を受ける度にお前の魔力値は落ちておる!お主の負けじゃ!」
バロルは肩をすくめて苦笑した。
「そうだな…こりゃ俺の負けだ…」
「わ…わかったらとっとと大人しく帰れ!!」
バロルはポケットから小さな紫色の瓶を取り出し、不敵な笑みを浮かべた。
「…これを使わせてもらうわ…」
その瓶の蓋を開けると、中から黒い霧が噴き出し、グリンディアを包み込む。
「なっ…?」
木陰から様子を伺っていたオズワルドは驚愕した。
「あれは…一体…?」
霧が晴れると、グリンディアは小さくなり、その瓶の中に閉じ込められていた。中で小さな手を振り回し、瓶を叩くグリンディア。バロルは瓶をつまみ上げて覗き込んだ。
「は―…悪いな…癪だけどお前に勝てる気がしなかったので王からもらったこのマジックアイテムを使わせてもらったわ。こんなやり方はカッコ悪いけど失敗して王に怒られるよりマシだ。」
バロルは肩をすくめると、瓶を持ち上げた。
「さあ冥界に帰るか。」
「まっ…まて!!その瓶をよこせ!」
オズワルドが飛び出し、バロルに叫ぶ。
「お嬢ちゃんの隣に居た奴か…戦いをみてただろ?お前じゃ俺に勝てないよ。弱い物虐めするような趣味はない。それに王からお嬢ちゃんの周りの生き物をあまり傷づけるなって命令されてるんだ。大人しく通してくれ。」
「そ…そうはいかない…!グリンディア様を返せ!」
瓶の中でグリンディアが叫ぶ。
(オズ…お前じゃ勝てない…逃げて…!)
「しょうがねえなあ…」
バロルが片手を軽く振ると、オズワルドは魔力の圧で後方に吹き飛ばされた。
「ぐっふ…」
「なっ…?無理だろ?大人しくどっかいけ。」
それでも立ち上がるオズワルド。
「そんなわけにはいかないんだよ!!!!」
何度も挑むが、そのたびに吹き飛ばされる。
満身創痍のオズワルドは、瓶の中で必死に叩くグリンディアの姿を見た。
(グリンディア様…僕が救い出してあげます…たとえ…僕の命に代えても…グリンディア様を守る!!!)
その瞬間、オズワルドの中で何かが弾けた。黒いオーラが彼の身体を包む。
「おい…その瓶をおけ!!」
「お前なんだその黒い魔力…魔力も増えてるし。」
「うおおおおおお!!!!」
黒いオーラを纏ったオズワルドは、全力でバロルを殴りつけた。しかし…
ガキン!!
「凄い攻撃だったが…俺には効かん。相手が悪かったな。ふんっ!」
再びバロルの魔力で吹き飛ばされるオズワルド。しかし彼は立ち上がり、決して諦めない。
絶望的な戦いが続いていく。




