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僕が守ると誓います!伝説の村で交わした約束

挿絵(By みてみん)



ピピンの家の薄暗い居間。オズワルドは深い呼吸を一つしてから、グリンディアに向き直った。彼の表情には迷いがなく、まっすぐな眼差しが彼女を見つめている。


「僕は、グリンディア様を全てを懸けて守ると誓います!」


その言葉に部屋の空気が変わる。ケスミーが驚いた顔をする一方で、ピピンは静かに微笑みを浮かべていた。そして、グリンディアの瞳が潤む。長い間塞ぎ込んでいた彼女の表情に、久しぶりに光が戻った。


「ありがとう、オズ。お主がそう言ってくれるなら、ワシもきっと負けない…!」

少しだけ顔を赤らめたグリンディアが小さく頷く。それを見たオズワルドの表情も柔らかくなった。


「この先はどうしますか? グリンディア様はこの村にいたほうが安全でしょうか?」

オズワルドがピピンに尋ねると、彼女は腕を組んで少し考え込む仕草を見せた後、穏やかに答えた。


「いいや。オズワルド君のところに戻ったほうが良いと思うよ。」


「何故です?」


ピピンは視線を少し鋭くし、静かに説明を始めた。


「この村はな、闇の王が初めて出現した場所じゃ。その因果の深さゆえに、闇の者たちはこの村を監視しておる可能性が高い。」


オズワルドの顔がこわばる。「な…なるほど…」


さらにピピンは続けた。「それにな、この村の者達はグリンディアのことを知りすぎている。もしも魔物が近しい者に取り憑き、心や身体を奪い敵に回るとなるとやっかいじゃ。」


「た…確かにそうですね…」

オズワルドは納得したように頷いた。


ピピンは少し笑みを浮かべた。

(それにワシの予感では、オズワルド君の家こそがこの状況において最も安全な場所だと思うとる。)


「わかった…ワシはオズと一緒にいる♪ 昨日だってオズがワシを守ってくれたもの♪」

そう明るく言うグリンディアに、ピピンは満足げに頷いた。


「オズワルド君、グリンディアを頼むぞ。責任重大じゃぞ♪」


「が…がんばります…!」


ケスミーも穏やかな微笑みを浮かべ、「うふふふ♪」と笑う。


ピピンはふと真剣な表情に戻り、

「ワシは昔馴染に相談して、闇の王への対策を考えることにするわい。」


「ピピン様のお仲間ですか。それは頼もしいですね!」




その時、グリンディアが「あ、そうじゃ」と思い出したように言った。


彼女は肩にかけていた魔法アイテムのバッグからごそごそと中を探り始める。オズワルドは半ば呆れた様子で彼女を見守っていたが、次の瞬間、彼女が引っ張り出したものに思わず目を見張った。



グリンディアの手には眠っている青年――イグニスが収まっていた。


「こ、こりゃあ! 人間をこの袋に入れるなんて何を考えとるんじゃ!」

ピピンお祖母様が驚いて声を上げる。


「僕も止めたんですが、聞いてくれなくて…」

オズワルドが苦笑いしながら弁解した。


「えへへ、すまんの。こいつ、この間の魔物騒ぎで道に迷っておったんじゃ。だからお祖母様に修行をつけてやって欲しいのじゃよ♪」


グリンディアが悪びれる様子もなく説明する。


そのとき、イグニスがゆっくりと目を覚ました。彼は周囲を見回し、目をこすりながら戸惑いの声を上げる。


「ここは…どこだ…? グリンディアさんが二人いる…?」


「ここはワシの故郷、マイハーマ村じゃ。そしてこの方はワシのお祖母様の大魔法使いピピン様じゃよ。」


「伝説の…ピピン様!? 本当にあの…?」

イグニスの表情が青ざめるような驚きと、ほんの少しの畏怖で硬直する。


「お主、なかなかいい男じゃね。気に入ったぞ! よし、ワシが鍛えなおしてやろう!」

ピピンお祖母様が楽しそうに笑いながらイグニスを肩で叩く。


「えっ、えっ…!? ちょっと待ってください!」

イグニスは反論する間もなくピピンお祖母様に引っ張られて行った。




その後、グリンディアとオズワルドはお祖母様の家を後にすることになった。


「さあ、帰ろう。夕飯前に家に戻らねば、母上様と父上様が心配するからの。」

グリンディアはほうきを取り出しながら言う。


「はい、行きましょ♪ 」

オズワルドが微笑む。


家を出る直前、見送りに来たケスミーが静かにグリンディアへと声をかけた。


「グリンディア様…どうかご無事で。私はいつでもあなたを想っております。」


「ありがとう、ケスミー♪ ワシには…オズがおるから大丈夫じゃ♪ 」

グリンディアが軽く手を振って答える。


ピピンお祖母様も門の前に立ち、厳しくも優しい眼差しで孫娘を見つめていた。

「グリンディア、これからお主には大変なことが待ち受けておる。だが、決して負けるんじゃないぞ。」


「うん! わかっとるよ、お祖母様!」

グリンディアは力強く頷いた。


お祖母様は続けてオズワルドに視線を移す。

(頼むぞオズワルド君…どうか闇の者達から孫娘を守ってやってくれ…)


挿絵(By みてみん)




1週間後。魔法学園ギョウダァの学園四天王だったセレナの元に、一通の手紙が届いた。その手紙はイグニスからだった。


拝啓 セレナ様


僕はひょんなことがきっかけで、魔法使い伝説の村マイハーマ村に来ています。

ここでは、大魔法使いピピン様をはじめ、凄まじい魔法使いたちと毎日厳しい修行を行っています。


そのおかげで、魔法を学ぶ初心を取り戻せたように感じます。


あの時君が誘ってくれた他校への転校の話や、僕を支えてくれた気持ちを理解してあげられず、本当にすまなかった。


ここで心も身体も鍛え直し、もう少し逞しくなれたら、君にもう一度会いたいです。


敬具 イグニス



手紙を読んだセレナは微笑みながらそっと呟いた。

「イグニス…頑張ってね…♪」

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