表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

第1話 約束

「どうぞ〜、開いてるわよ〜、まってたわよ〜!」


不用心だなと、呼び鈴を鳴らすべきだったかなと思いながら一呼吸置いてドアを開け、合わせる顔が無いなと思い目を伏せつつ中に入り、


「先生…………駄目でした。」


目を合わす事ができずにおずおずと報告すると、いきなり駆け寄ってきた『彼女』に抱きしめられてしまった。


「!ちょっ、まっ、あっ?」


色々不味いものが当たってるんですけど、嬉しいけれど………………


暫く固まって、彼女の『思い遣り』に癒やされてから、必死に彼女を引き剥がした。


「も〜、『先生』は無しって言ったよね!」


正面から見つめられながら、詰め寄られる。


「じゃぁ、姉さん?」


「駄〜目だよ?名前で呼んで!」


「僕が勘違いしそうだから嫌だって言ったよね?」


「勘違いって、何をかな?」


おでこをくっつけながら、天然なのか養殖なのか?


「……………………沙友理さん、分かってて言ってますよね?意識して、寄ってますよね!」


名前で呼ばれて、パァ〜っと明るい笑顔で、


「敬語は無しって!」


「!無理!!」


吐息が近すぎます!笑顔が眩しすぎます!

少しでも引き寄せれば、唇を合わせられる位に近いです!


そう、色々と無理なんだからね!


『彼女』は僕の初恋の人。

『女性』として意識した、初めての人。

彼女もそれを知っていながら、僕をからかってるんだけどね。

でも、叶わないんだ。

彼女は、長兄の婚約者だから。


何処で知り合ったのかは話してはくれないけど、いつの間にか長兄が沙友理さんのスポンサーになっていて、気がついたら婚約者として家族に紹介されていた。

僕が沙友理さんを意識したときには、もう手の届かない処へ行ってしまっていたから。


「も〜、ほんっとに、合格をっ、期待してっ、色々と『楽しみに』していたんだからねっ!」


もう一度、ギュ〜っと抱き締められながら、耳元で一言ずつ、区切るように囁かれた後、耳たぶを甘噛みされてしまった。


「……………………えっ?!」


それって、『あの約束』を、本気にしていてくれたって事だよね?

冗談のつもりだったのに。


いや、それは、嘘だね。僕は、本気だったんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ