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第15話 言ってるそばから

知恵さんと手を繋いでエスコートしながら階段を降りると……………………


「克也君?別に手を繋がなくても大丈夫ですよ?私は、嬉しいけどねっ!」


「……………………嬉しいんなら、良いじゃないですか?って、お〜っと!」


言ってるそばから躓いた知恵さんを支えたんだけど、支えきれずに抱きしめてしまったじゃないですか。


「……………………あっアリガト?」


「……………………知恵さん?わざとやってませんよね?」


上手く支えられなかったので、知恵さんの『柔らかいもの』が僕の『下半身』に当たってるじゃないですかっ!

由香里よりも、沙友理さんよりも、たわわそうな柔らかそうな物が。


「……………………ウフフっ、そんな事、チョットしか、無いですよっ!」


「……………………チョットは、有るんですね?」


「チョットしか、有るんですけどね。」


知恵さんを抱き起こしながら、挑発にはお応えしないとな〜と、正面を向かせて立たせてから、おでこを当てながら、目を見つめながら、軽く唇を触れながら、


「知恵さん?このままコーヒー注文しないで裏通りの『お部屋』へ行きましょうか?」


裏通りにあるのは、いわゆる連れ込み宿。

ラブホテルですらない、その目的だけの部屋。


意味がわかったのか、真っ赤になりながら、それでも目を逸らさずに、


「……………………御祖父様がお話があるそうですから、また今度でお願いできますか?」


強く拒否されると思っていたので、意外だった。どこまで本気か確かめたかったので、もう一押ししてみた。


「……………………明日の午後一で、迎えに来ます。よろしいですか?」


それでも、おでこを当てたまま、目を逸らさずに、


「……………………はい、お願いします。」


もう一度、唇を交わしてから、


「では、連絡先交換しましょう。」


「……………………ハイっ!」


「……………………知恵さん?ごめんなさい。貴女を試しました。」


「……………………はいっ?」


「失礼ながら、貴女、未経験ですよね?」


「……………………わかるものなんですね?」


「なんとなく、ですけどね。お詫びに明日、食事でもしましょうか。」


「はい、喜んで!でも、私を弄んだのですから、高くつきますよ?」


「……………………覚悟しておきましょう。連絡先、ください。では、もう行かないと遅くなりますから。」


「大丈夫です。御祖父様が由香里さんに話したい事が有るそうで、克也君を一時間位、合図があるまで、身体を張ってでも引き止めておくようにと言われてましたので。」


やっぱり、そうなんだ。

だったら、ためらわずに連れ込めば良かったかな?

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