表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/18

第13話 『僕らの』

「おはようございます。今、お店の前に着きました。少し早いですが、お邪魔して宜しいでしょうか?」


画廊のある二階を見上げながら、窓際のカーテンが揺れるのと人影が見えると同時に、コール2回で出た寺本さんは、


『おはよう!丁度君に電話しようと思ってた所だ。すぐに来てくれ。』


「はいっ、すぐに伺います。」


雑居ビルの二階、一階はカフェになっていて三階から上は事務所が入居しているありふれた佇まいの入口を入り、エレベーターではなく階段で上っていく。

壁に並べて飾ってある絵画を見ながらゆっくりと上がるのか楽しみだから。

頻繁に入れ替わるのも、楽しみだったりする。


「「あっ?!」」


踊り場に差しかかった所で、二人で声を上げてしまった。


「……………………これ、もしかして?」


「ん、そうだね、『僕らの』だね。」


「……………………嬉しいっ!」


受験直前に、気晴らしに、由香里をモデルにして描いた水彩画だ。

僕も、素直に嬉しい。

以前、初めてここに飾られた時よりも嬉しかったりする。


階段を登り切り、正面のドアをノックして返事を待たずに開けて、


「寺本さん、僕の作品を飾って頂いてありがとうございます!」


本当なら不合格の不甲斐なさを詫びるところなんだろうけど、嬉しさが上回ってしまったから仕方ないよね?


「おはよう。思ったより元気そうで、安心したぞ。」


「……………………失礼しました、おはようございます。」


「いや、いいんだ。あれを見たんだろう?」


「はい、ありがとうございます!本当に、嬉しいです。」


「まあ、色々話したいことが多いから、由香里さんは掛けたまえ。智恵、コーヒー頼んできてくれるかな?克也君は一緒に取りに着いていってくれないか?」


寺本さんの孫娘の智恵さんに促されて、素直に一階のカフェに二人で降りていった。


態々僕に頼むくらいだから、由香里と何か話したかったんだろうと察したから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ