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作者: 秋暁秋季

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


私の中学では、美術部は完全に帰宅部でした。

なんの誇張もなく。

美術室の一室で準備をしていた。放課後の部活動、美術部なんて名ばかりの、帰宅部と化したその一室。そこで数少ない正当な部員である俺と部長は黙って、部活動に勤しんでいた。

絵を描くなら原色が良い。混じりっけのない、生粋の色。自分を貫くようなそんな色彩が、とても好きだった。

黙ってチューブから絵の具を出すのを、部長は黙って見詰めている。描きたい構図が浮かばないのか、パレットを眺めながらこめかみを押さえた。

「あの子のイメージカラーって、紫なんだよね」

「そんな高貴な色してるって感じじゃないですけどね」

あの子、というのは何時も一緒にいる部員の女子の事だろう。今日は何でも塾があるそうで、部長に全力で頭を下げて部室を飛び出して行った。そんな帰宅部同然の部なのだから、気を使わなくても良いものを。

性格は明るく活発。動いてないと死ぬんじゃないかってぐらい。でも絵を描いている時は寡黙だった。全ての物事を遮断したように、用紙と向き合っている。

部長は並べられた絵の具の中から紫色を取り出すと、俺の前に見せる。

「色から放たれるイメージを元に話してるんじゃないよ。その色の成り立ちからさ」

部長は色紙の上に紫の絵の具を置くと、赤と青のインクをその隣に置いた。

「情熱を示す苛烈さも、冷静さを示す落ち着きも、その両方が同居してる」

赤と青を一つ一つ指差しながら、解説を始める。双眸はとても穏やかで、この人の居ない美術部室の中と相まって、神秘的な空気を作り出す。

「そうですね。確かに紫かもしれないですね」

思いのままに振舞っているようで、自分の異常性を客観的に評価出来る。自分が“狂っている”事をきちんと理解している。相反する二極化した要素が、彼女を彼女として成り立たせているのだ。

そう、部長と二人で余韻に浸っていると、不意に横扉が開け放たれた。現れたのは話題の主。彼女は息を切らして俺達の前まで大股で歩み寄る。

「やっべー、今日塾休みでしたよ。って、部長は描かないんです?」

空気をぶち壊した張本人は無遠慮に俺の色紙を覗き込み、それから部長を見た。何の色も落とされていない色紙に疑問符を浮かべ、首を折る。

「今から描くよ。テーマは紫で」

「へぇ。此奴のイメージカラーっすわ」

目の前の女は腕を組むとドヤ顔で、俺の事を指差した。

出て来てる女子、ヨハネっぽいなと思ったり。

ヨハネのイメージカラー、紫なんですよ。色んな意味で。


余談なんですけど、自分を色に例えるとって、自己分析であるじゃないですか。あれからふと思い付きました。


この色に対する考え方、また出てくると思います。

マジ何番煎じだよ……!! と自分にツッコミ入れてます。

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