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現代×魔導 第一章 第三話 魔導生物事件  作者: マグネシウム・リン
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 敵:確認。

 数:たくさん。

 判別:C型怪異。

 判断:雑魚ばっか。

 C型怪異=幅の広い鎌のような両腕を広げる/銃弾をはじき、軟標的=人間を刈るための禍々しい造形=悪意を持って創られた異形。

 カナの指が軽やかに動きマナを編む。それはマナの旋律となり響き渡る四重奏(カルテット)だった。

「スパークッ!」

 C型怪異の群れの真ん中で凶悪な光が勃興=光を天賦とする(最高位)の魔導士の本領発揮/怪異の物理防御も魔導障壁もまとめて焼き払った。

 怪異の体が一瞬にして灰になる/消失。

 影/もやとも判別できないぐらい小さくなって消えた。

 後悔すべき点として、ニシがいないこと=私の輝く姿を見てほしい。

 カナは一歩も動かず/周囲の怪異は瞬く間に灰燼に=ただ指でマナを(かな)でるだけだった。

 ふと、横の若い隊員と目が合う。

「……何よ?」

「え、いや、魔法の呪文が」

魔導(・・)。それが何か」

「昔、自分の妹が見ていた『Magical★Girl』で聞いたことがあるような。きらっと光って敵を倒す、みたいな」

そんなわけ(・・・・・)ないでしょ(・・・・・)偶然です(・・・・)

「す、すいません」

 どうして謝るの。怒っていない。

「いいから。あっちをお願い。群れを倒すのは得意だけど1匹ずつ潰すのは苦手だから」

「あっ、はい」

 若い隊員はなるべくカナに目を合わせないようにして立ち去った。

 昔? 『Magical★Girl』はまだ放送中だっての。まったく。それに敵なんかじゃなくて悪のフォーチュナーなんだから。まったく。

 1歩前へ踏み出す。倒しても倒しても、わらわらと怪異が潰瘍から出現する。

 方々では騒々しい銃声が立て続けに起きているが、人が足りない。いや、全員がいたとしても、こうもC型怪異ばかりでは戦力不足だ。

 ちらり。目の端に影が走った=確認:怪異/1匹だけ。

 またも指が動く/マナを編む/旋律を紡ぐ。

「シャッダー」

 細い声/詠唱。

 C型怪異は細い光の線条に包まれる/あっという間に裁断=消失。

 左右方向から同時に怪異=全部で10匹くらいか。


挿絵(By みてみん)


 指先がマナを編んで印を結んだ。

「フラッシュ!」

 高々と唱える=たちまち鋭い閃光が放たれ怪異が炎に包まれる。

 しかしまだ動いている。

 ちらり=睥睨。

 前触れもなく巨大なコンクリート塊が横殴りで飛んでくる=怪異が消失した。

「んーだめね。光以外の魔導は美しくない」=溜息/魔導の美学。

 詠唱を誰にも聞かれなくてよかった=安堵。

 とりあえず今は防げている。今だけは。ただこれは消耗戦だった。

 隊員たちの武器の残弾には限りがある/敵は無限。武器が無くなったところが防衛線の穴になる。大元の潰瘍の出口をふさがなくてはキリがない。

 その時、空気を揺らす爆轟があたりを包んだ。地面が揺れて、巨大な噴煙が縦方向に伸びた。

「今度は何よ!」

 噴煙を見やった。

 ──背後から襲ってきた怪異を、目視なしで光の刃で(なます)に切り刻む。

 これはただの爆発じゃない。どこかで見た覚えがある。確か……。

地中貫通爆弾(バンカーバスター )に似てるけど、地面が盛り上がる爆発がない。高質量体が高速度で貫通しただけ? でもどうして」

 思案。

 ──指先の向きをわずかに変え、別方向から襲来した怪異を焼却。

 確かあの辺りは、導入したばかりの新機軸の魔導機関と自働工廠がある。

 嫌な予感。

 建設途中の現場を見た感想=なぜ軍事施設並みの強化コンクリートで封じるのか。第三次世界大戦(あのせんそう)で常盤興業が外国の軍隊に襲われたせい? たぶん。それだけ隠し通したいものなのか。

 じゃあ、敵の目的は潰瘍ではなく、新機軸の魔導機関?

「まさか、これは陽動」

 誰が? まずい=しかしここを動けない。

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