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不吉な予兆

「ねぇちゃん、おーきーてぇ〜」


「うぅ〜ん」


 ボヤける視界のなか、ゆさゆさと揺すられる。

 寝返りをうって、行動の主を見るとヒューイが立っていた。


「はぁよ……」


「うん!おはよ!」


 それから目を擦りながらそのまま体をベットから起こし、時刻を見ると朝の6時ほどだ。

 いつも起きる時間帯よりも1時間ほど早い。

 渡りを見渡すと、隣のベットで寝ていたジークさんも寝起きだったようで、ポリポリとお腹をかいている。


「ヒューイ、朝、早いねぇ」


「俺、これから忙しいんだけど、おねえちゃんの顔が見たくて早起きした!」


 何て可愛いことを言ってくれるのだろうか。

 体を捻ってヒューイを抱きしめる。

 さらさらの黒髪が気持ちいい。


「おねえちゃん、午後どこに行く?」


「う〜ん、まだここの事、よく知らない……」


「じゃあ、僕が考えておくよ!」


「ぁ……ありがとう」


 催促をしてしまったようだ。姉としては少し恥ずかしい。


「うん!それじゃあ、お昼食べおわったら、門の前で集合だよっ!」


 それだけを言ってヒューイは部屋を出ていった。

 6歳なのに本当に忙しそうだ。


「嬉しそうだな」


「えっ」


 ジークさんにそう言われて手を頬にあてる。

 確かに口元はにやけていた。


「うん、嬉しい……楽しみ」


 さて、いつもよりも早く起きてしまったが、準備を進めようか。

 私は今日という一日が楽しみてたまらなかった。







「ふふふ、あはははは」


 ヒューイは喜びで廊下を走る。

 笑い声が廊下に響いた。


 それを聞いた使用人達は驚いた。


 いつも見ている彼とは全く違っているのだ。


 それを知ってか知らずか、ヒューイは元気よく、すれちがう使用人達に挨拶をしていく。


 その度に、使用人達は返事をしながらもたじろぐ。


 すると、ヒューイの目の前の廊下の角からエイダが出てきた。


「あっ!お母様!おはようございます!」


「おはぁよ、ヒューイ」


 エイダが目の前で止まったヒューイの頭を撫でなから答える。


 使用人達は、またもやいつもと違う様子に目を剥く。


 あの親子の関係で、このような暖かなところがあるとは。


 そう使用人の誰もが思う。


「きょぉおも、いい子にするのぉよ?午後遊ぶぅなら、午前のおべんきょー頑張って、ねぇ〜え?」


「はいっ!」


 そう言ってヒューイはまたステップをして走っていく。廊下には、それをたしなめるエイダの声が響いた。


 走るヒューイの右腕の腕輪に着いたアメジストの宝石が、キラリときらめいく。


 それをニコヤカに見送っていたエイダに声をかける者がいる。

 執事のフレドルだ。


「エイダ様」


「なぁに〜」


「ルーラー様がお呼びです」


「あらぁ、旦那様はぁ〜?」


「すでにルーラー様の元におられます。エイダ様をお待ちです。」


「……」


 エイダが黙る。口元には笑顔が浮かんでいたが、瞳の奥にはいらだちが見える。


「わかったわぁ」


 しかし、すぐにエイダは低い声で返事をし、振り返ってツカツカとヒールを鳴らしながら歩く。


 周りにいた使用人達はいつもと同じ様子になったエイダを見て、またもやおののく。


 皆がみな、何か不吉なものを感じた。

 


ルーラー様?

また新たな登場人物ですね

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