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 気がついたら外は茜色に染まっている。遠くを飛ぶ鳥が、黒い影を作りながら太陽を横切る。


 当主との面会を終えた私たちは1つの部屋に呼ばれた。護衛の人達がゆっくりと扉を押し開く。


 すると、良い香りが漂ってくる。


 部屋にはいると、そこには様々な食事が並んでいた。


 食事の内容を見たら、今まで食べたことの無いものばかりだった。

 片手に爪が2つついたロブスターのテルミドール。香りこおばしいドレッシングがかかった色とりどりの山菜。とろりと黄金色のイモのポタージュ。綺麗に切り分けられた緑色のパン。そして、真ん中に据えられたのは────


(────ホロホロ鳥の丸焼き!!!)


 いつぞやの好物が、まるで王座に座るかのように、大きな存在感と甘辛な匂いを発していた。


「さぁ、好きな所に座って。今日はアーウェン男爵領の森で取れた食事を用意したのよ!」


「!!!!」


「っとと」


 私は勢いよく頷く。ジークさんの腕を引っ張り席についた。


「ふふ、もう親子、兄弟のようね。」


「ぁ!」


 その言葉に我を忘れかけていた自分が恥ずかしくなって赤面した。


 席に着いたのは私とジークさんとアリアさんの3人だ。護衛の人は後ろに控えている。


 その人たちの視線が気にはなったが、アリアさんの合図を皮切りに夕飯をとった。


 今まで自炊したもの以外のまともな料理を食べてこなかった私は、移動時の時に外で食べたものとも違う、噛めば噛むほど旨みが溢れる食事は至福の時間であった。


 


 食事を終えた私は、久しぶりのちゃんとしたお風呂にはいり、久しぶりのしっかりした服をきて、これまた久しぶりのフカフカのベットで床についた。




 だが


「お姉ちゃん……助けて──────」


「ハッ!」


 周りを見渡す。遠くの方から虫の音がジリリリと鳴っているのが聞こえた。窓からは青い月の光が差し込んでいる。時計を見ると、時刻は夜中の3時程を指していた。チクタクチクタクと針の進む音だけが、部屋なかに響く。


「はっ……はっ……はっ……またか………」


 私は()()()()()()3()()()()悪夢で目が覚めたことにイラだった。荒い息を整えながら布団を握りしめる。


「………ふぅ」



 眉根に力が入るのを感じつつ、震えた手を頭に添える。私の手で隠れた目の裏では先程見た夢のことが思い浮かんでいた。

 森を出発する前に見た、ヒューイと再開する夢。

 毎度毎度黒髪の少年に声をかけるも、こちらの声は届かず、少年は涙を流し、助けを求めてくる。


 それを1度のみならず、3度も見て、その度にはね起きた。


 今日は今までになかった至福の思い出で彩られていたのに、最後の最後でだいなしだ。


 1度目に見た時は大したことはないと思っていた。


 実は明日は姉のリーナに会いにいく。

 その事が、伯爵の元にいるヒューイの事を想起させ、夢に出てきた。ただそれだけだと思った。


 だけど、それを3度も繰り返すだなんて、おかしい。


(うーん、ヒューイから思念をのせた魔力が送られてきてるとか……?)


 施設で安定して魔法が使えるようになったのは、私とヒューイの2人のみだ。その時にヒューイの魔力の特徴は覚えている。それを、あちらも覚えていて、それをたどってこちらに何か伝えるために魔法を使ったのかもしれない。


 そう思った私はすぐさま、探知魔法を使った。


 この魔法は魔力を感じ取るものなのだが、基本的に生命は全て魔力を帯びているので、どこに何がいるのは反応が多すぎて分からない。だから普段使いできる代物ではない。


 だが、異色の魔力を感じ取ることぐらいならできる。


 私は、薄く広く、自分の魔力を周囲に放出していった。


 そして、そこには、


「何も、ない??」


 そう、何も無い。正確にはあるのだが、それらが宿す魔力は普通だ。つまり、今いる場所は本当にただの部屋だ。


 そもそも、ヒューイがいる伯爵家からここまでどこまで離れているというのだ。そんな状況で、あそこまで鮮明に出てこれるほどの魔力は届いてこないはずだ。


「つまり……本当に、ただの夢ってこと……?」


 部屋をぼんやりと見つめる。だが、部屋はそれに沈黙で答えるだけで、何かが現れることはない。


「はぁぁぁ………」


 ポスッと後ろに倒れ込む。そのまま4度寝をしようとする。しかし、なかなか寝付けない。


(また同じ夢を見ちゃうかも……)


 それは嫌だ。それに明日はリーナに会いに行くのに、疲れが残ってしまうかもしれない。不安だ。


 そう思った私は自分のベットから降り、静かに部屋を出て、隣の扉まで移動する。


 その扉をそぉっと開けると、そこにはスヤスヤと眠るジークの姿があった。


 そこで、私は足音を立てないようにそこまで近づき、ジークが眠っているベットに入り込んだ。


 暖かい。ジークの寝息がすぐそこに感じる。

その事に私は緊張が抜けていくのを感じた。


「これなら、いけ……る………」


 まぶたを閉じると、そのまま眠りへと意識は落ちていった。




 次の日の朝。朝食の席に着いたアリアは、妙にニヤついたジークの姿を見たのであった。




ジーク、デレる笑

最近、カッコイイキャラとして書いていたジークのキャラが崩れてきた気がします。

それが、アリアの言っていた変化なのか、私のイタズラ心なのかは、私自身なんだか分からなくなってきました。笑


ちなみに、フェリスが以前見た夢は、第23部に収められています。


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