悩み
上手く区切れず、次話が長く、今話が短めになっております。
(………私は、今世で何回泣けば気が済むのだろうか……)
恥ずかしいし、またもや迷惑を掛けてしまった。
「グズッ………」
「……落ち着いたか」
「うん……」
現在、何をしているかというと、ジークさんの馬の上に乗っている。
体制は前世でいうバックハグ。ジークが後ろから腕を回して馬の手網を引いている。
子供の体なので、その状況にはちっともドキッとしないが。
何も感じないことにちょっとばかりガッカリしながら周囲を見ると、妙に隣の馬との距離が離れていた。
「うぅ………」
「気にするな」
ジークさんにポスッと頭に手を置かれた。
(見事に避けられちゃってるなぁ……)
やはり先程のハルビンさんとの騒動で私、いや、私たちに対する周囲からの風当たりは強くなっていそうだ。
さて、あの騒動のあと、どうなったかと言うと、私の過去を騎士たちに話した。
あそこまで疑われては、アリアさんが命令を下したとしても場が収まりきることは無い。
泣き止んだ私に許可を得たアリアさんは私がいない所で、私が人体魔力実験の元被験者で、魔法を多少使える。と説明していた。
その後、私はハルビンさんから謝罪された。その時は剣を地面に突き刺し、片膝をついて深々と頭をさげられた。
私は気持ちを整理しきれておらず、その謝罪に対しては曖昧な返事しか出来なかった。
ハルビンはその返事を聞き、とても苦しげな顔をしていた。ちゃんと答えられなかった事が申し訳ない。
そしてその日はグリフォンの素材の解体や休憩をするということでその場にもう一日滞在し、翌日に再度出発となった。
ただ、私は1度魔力暴発を起こしてしまったのでアリアさんの馬車にはのれず、変わりにジークさんと馬に同乗することになってた。
私は今回、改めて魔法の恐ろしさを感じた。
ハルビンさんに疑われた原因は魔法だ。
本来であればちょっと奇妙な孤児と言うことで収まっていたはずだ。
それが、魔法の使用の可・不可で大きな事態へと発展した。
一応騎士たちには箝口令が敷かれたが、人の口に戸はたてられない。今回の事が今後へどう影響が出するのか不安だ。
そんなことを考えると、不安や人への恐怖が心の中にちらついて、泣きそうになってしまう。
先の事件から、私は涙脆くなっていた。
トントンと背中を軽く叩かれる。
(うぅ、まただ……申し訳がないよぉ……)
その度にジークさんが私の様子を察知して、背中をさすってくる。
その行為には正直安心するが、完全に扱いが子供だ。
私は頬が火照って行くのを感じていた。
それともう1つ。私の風邪のことだが、森を出発してから2週間目の現在。すっかり鳴りを潜めていた。どうせならもっと早く治って欲しかった。
それにしても、ジークさんの傍にいると、本当に安心する。
他のよそよそしい騎士たちの前では、私の心はザワザワしてしまう。だが、そんな状態もジークさんのそばによった途端に落ち着く。
それだけ、ジークさんに対する信頼は確かなものへとなっていた。
(ジークさんに、ジークさんなら、私の名前を────)
「どうした?」
「う、ううん……」
ジークさんの言葉にフルフルと頭を振る。しかし私の頭の中はひとつの事でいっぱいだ。
(────ジークさんに私の名前を付けてもらいたい。)
だがどう頼めばいいのだろう。
パカラッパカラッとテンポ良いひづめの音が耳に心地よく波打っていた。
作者の予定が切迫してきたので、投稿は1日1~3に抑えようかと思います。




