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自己紹介

 うーん、うーん、頭を悩ます。しかし、今までで出会った人達は母親と施設の人達、後は兄弟たち、後はここにいるアリアさんとキャニーさんぐらいだろうか。


 今まで会ってきた相手が少数なだけに、相手の声もだいたい覚えている。

 しかし、先程の男性の声は、聞いても誰かは分からなかった。

 しかし、聞き覚えはあるのだ。なかかな思い出せず、眉を寄せる。


「だ、大丈夫?」


 そんな私に気がついたキャニーさんがそう聞いてきた。今日、何度目か分からない赤面をする。


「……っ!っ!」


 恥ずかしくて口をパクパクしていると、苦笑したアリアさんがある提案をしてきた。


「あのね、実はまだ私の従者がいるの。その人たちにあなたを紹介したいのだけれど、良いかしら?」


 従者たちとは、昼間に会ったキャニーさんを含む6人の事だろうか。


 私はどうしようかと迷っていると、キャニーさんが、悪い人たちは私がぶっ飛ばすわよ!と言ってくれた。

 キャニーさんはアリアさんにまたたしなめられたが、その言葉に勇気をもらい、頷いた。


「ありがとう。」


 アリアさんはニッコリと笑ったあと、キャニーさんを送り出した。


 キャニーさんが人を呼ぶ間、アリアさんから、勝手にここに人を連れてきてしまってごめんなさい。と言われた。


 私はそれに対して頭を激しく横に振った。


 それを見て、一瞬ポカンとしたアリアさんはクスクスと笑っていた。


 たしかに拠点を人に知られるのは怖いが、ここは仮拠点。本当の住居は洞窟なので、私にはたいした問題ではない。


 そんなやり取りをしていると、程なくしてキャニーさんが人を引き連れ現れた。


「あの……すまなかった。」


 現れた人達を改めて観察していると、グレーの短髪の男性が謝ってきた。

 男性たちの中では1番背が低い。


 先ほど逃走してしまったこともあるので、その人に話しかけられると、体はビクリと反応してしまう。


 だが、俯きがちの男性はそれに気づかず、言葉を続ける。


「き、君は……あの時の……」


「ちょっとぉ!なに自分の世界に入ろうとしているのよ!私達の紹介がまだでしょ!」


「うっ…。すまん。」


 すると、キャニーさんはそんな男性の頭をポカリとはたいて割り込んできてくれた。


 ほかの人たちが来る前のやり取りがあったからか、キャニーさんの怒った声を聞いても、ビックリせず、逆にホッとする。


 キャニーさんは、こほん、と1度咳払いをし、他の人たちを紹介してくれた。


 まずは男性陣4人。


 ジーク・リンデン。謝ってきたグレーの短髪の人だ。たしか隊の中で2匹目のクマの出現に、1番に気づいた人だ。背は男性にしては小さめ。まだ若いのだろうか。


 カーター・ルーシー。声の大きかった男性だ。体も1番大きく、がっしりとしている。頭は丸坊主だ。肌がやけていて強面だが、ニカッと笑う姿には愛嬌があった。クマさんみたい。


 アイザック・ベンデン。緑眼で、伸ばした赤髪の毛を後ろでまとめている。髭が伸びていて、おしゃれで伸ばしていると言うよりかはズボラなタイプのようだ。男性の中で細身だ。前世風にいうと、ひょろい。


 ライアン・ノルー。キャニーさんと同様茶髪で黄色い瞳をしている。ツンとした鼻をしていて、キャニーさんと兄弟なのかもしれない。ただ、キャニーさんのようにバズーカートークをするほど、おしゃべりという訳では無い。男性たちの中で、背は中くらいだった。


 最後に女性だ。


 オリビア・ルクス。可愛い名前だが、細くてつり目に合わせ、前髪がおでこにピッチリと7:3に揃えられており、長い黒髪を後ろでまとめている。何だか冷たそうな雰囲気だが、私を怯えさせないようにオドオド話すさまから、優しい人なのだとわかった。


 ちなみにキャニーさんも、再度自己紹介をしてくれた。


 キャニー・ノルー。やはりライアンさんと姉弟のようだ。性格は少々荒いが、こちらを気づかっているのが伝わる。


 そんなキャニーさん達の装いは、統一された白マントの下に、思い思いの機能的な服を着込んでいるようだ。


「っと、まぁ名前は一気に言っちゃったから、おいおい覚えてくれたら嬉しいわ!一同改めて、アリア様を助けてくれて、本当にありがとう!」


 そういうとキャニーさんはわざわざ頭を下げてくれた。私が唖然としていると、それにならい、他の人達も一斉に頭を下げた。


「だ、だいじょうぶ!です!当たり前、した!そっ、それだけ!」


 慌てて返答すると、それからたっぷり10秒ほどたってから、キャニーさん達は顔をあげてくれた。


「ふふふ、本当に優しい子なのね!」


 その一言で場が弛緩する。何故だか突然褒められた私は固まってしまった。すると、ジークさんが、


「そういえば、君の名前も教えてくれないか。」


と言ってきた。


 その言葉に私とアリアさん、キャニーさんは固まってしまった。


「ちょっ!あんた!」


 キャニーさんは慌ててジークさんのマントを引っ付かみ、奥の方へ連れて行ってしまう。


 キャニーさんはアリアさんから私の話を聞いているのだろうか。


 それにみんなで呆気を取られている中、アリアさんだけはしまった、という顔をしていた。


 私は昼間の出来事を思い出し、目に涙を浮かべ、プルプルと震えた。口をぷくりと膨らます。


────恥ずかしい!!名前が欲しい!


 その思いむなしく、ジークさん達が戻るまで微妙な空気がその場に流れていた。

ちょっとKYのジークくん。

マイペースなんですかね笑

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