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アリアさん

「ちょっと、何してんのよ!」


「す、すまない。」


女が声をあげた。ジークはやってしまったと思いつつ、少女の走り去っていた方を食い入るように見ながら咄嗟に謝る。


「まったく、どうしたってんのよ。追いかけてくるわ。もう一人着いてきてちょうだい。」


「ま、待ってくれ。」


 残りの3人の男のうち1人を連れて女は行こうとするが、思わずジークは声をかけてしまう。


「何よ、大人数で行ったらあの子が怯えちゃうじゃない!」


 女はだいぶ苛立っているようだ。元々、落ち着いた性格では無いうえ、せっかく見付けたアリアへの手がかりが無くなりかけているのだ、当たり前だ。

 

 ジークはその言葉になんと返せば良いのか分からず、声を詰まらせてしまう。


 そんなジークの様子に女はふんっと鼻を鳴らし、そのまま茂みへと入っていった。


「おいおい、どうしたんだよ。」


 残った男の内一人が声をかけてきた。もう一人は怪我をしていた女性の様子を見ている。


 声をかけてきたのは、ジークの古くからの友人であり、3年前の救出作戦のメンバーの1人でもある。

 ジークより2歳ほど年上のその男は、3年前の事がありつつも、騎士団に残っていた。その事から、ジークは無意識にその男の事を尊敬している。


 ジークは混乱しきった頭の中、答えた。


「今の子は……あの、3年前の。……崖から落ちた、少女だ。」


「なっ!?本当かよ!」


 そんな関係だから、男はジークの騎士団を辞めた原因も、ジークが必死になって探している少女がいるのも知っていた。


 だからこそ、長年探していた少女が見つかったことに驚き、またジークの混乱度合いもやっと理解出来た。


 だが、今は、


「ジーク、いったん落ち着こう。あの2人が帰ってくるのを待つんだ。」


 先程、女が言っていたとおり、少女の様子から大人数で追いかければ怯えさせてしまうのは分かりきっていた。

 それに、今第一とするのはアリアの捜索と保護をすることだ。


 だから男はジークをなだめ、女たちの帰りを待つしか無かった。






「はっ、はっ……ふぅっ、うぅっ!」


 突然声を荒げられた。施設の奴らかもしれない人と出会った。施設の襲撃以降、あまり体験しなかった事々に、私はせき止められない涙を流しながら、アリアさんがいる方面へ、走っていた。


(なんて日だ!)


 たった1日で二度も誰かから逃げている。1度目はアリアさんから。2度目は男たちから。


 あんな別れ方をしたアリアの元に逃げ帰るのは、凄く恥ずかしく思うが、誰かに頼りたい。


 そんなふたつの思いで、胸の中はぐちゃぐちゃだった。


 転びそうになりつつも、体内に魔力を循環させることでエネルギーを補い、必死に走る。


 体力なんて、とっくのとうに底を尽きていたがらそれでも無理やり体を動かす。


 だって今足を止めたらあの人たちに捕まるかも。と。


 私は不安で押し潰れそうになった。


 しかし、必死の逃避行むなしく呼吸が狂い、頭もボンヤリしてくる。


 ついに私は、体内の魔力のコントロールを失い、無理に動かしていた足がもつれ、転んでしまう。


「うぅっはっ……うぅ……はぅ、」


 なんとか呼吸を整えようとするも、混乱した頭では、自分を制御出来ない。


「ふぇっ、うぅ、うぁぁぁああああああん!!」


 とうとう私は、赤子の頃のように座り込み、大声を上げて泣いてしまう。


「アリッ、ぅうっ、アリアさぁぁあん!!」


(おかしい、15歳まで生きていたはずなのに、まるで感情の制御が出来ないじゃない!!)


 そんな事をジンジンする頭の片隅で考えたながらも、わんわんと泣いてしまう。


「うぁっ、ううぅ、ああぁぁぁあああっ!」


 制止のつかない私の泣き声が、木々の間でこだましていた。

今回は少々短めですね。

それと、本人は幼児退行かと思いかけていますが、そうでも無いようです。

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