私が好きになった人は? ヤバい人でした。
私に、好きな男性ができました。
とっても優しくて、私にも優しい男性。
・・・彼は?
決して、他の女性から見て! カッコイイと思える
男性ではないけど?
背も高くて、ひょっとした体に顔がデコボコしてて
少し出っ歯かな。それと髪も少し薄いのが気になります。
それと? 相当、目が悪いのか?
分厚いトンボ眼鏡をかけています。
彼は、地下アイドルの熱狂的なファンみたいで。
“ブレンブレンファイヤー”というグループの
生物担当【麻生 みなか】という女の子に夢中だとか
言っていました。
彼の部屋の中は? 麻生みなかちゃんのグッズがずらり
とあって、何でも彼女の為ならしてあげたいって彼が言ってました。
私は、麻生みなかちゃんみたいに想ってもらえないんじゃないかと?
少し、不安がよぎります。
私は女友達から、しょっちゅうこう言われます。
『サトエの好きな男性ヤバいんじゃないの?』
『えぇ!?』
『アレ! 完全なオタクじゃん! 根暗なあんな男やめなのよ!』
『そうよ! そうよ! ヤバいって!』
『・・・でも?』
『サトエが好きなのは分かるけど? 地下アイドルの女の子が
好きなんでしょ! “彼はサトエの方を振り向かないよ!”』
『ホント! やめた方がいいって!』
『・・・・・・』
『もし? サトエの彼にあの男連れてきたら? 凄い引くし!』
『オタクじゃヤバいでしょ!』
『彼? 仕事は何してる人なの?』
『麻生 みなかちゃんがライブをする場所から少し離れた
古い喫茶店で働かせてもらってるみたい。』
『えぇ!?』
『・・・バイト!?』
『うん、給料はもらってないんだって!』
『えぇ!? それって何よ!』
『ライブとか行くんだったら? お金いるじゃん!』
『お母さんからお小遣い貰ってるから大丈夫なんだって。』
『えぇ!? 幾ら?』
『月に80万円ほどらしいよ。』
『最悪! ただのプーじゃん! 無職の人間とサトエ! 本気で
付き合いたいの? そんな男と付き合いたいなら? わたしたち
“友達やめる”からね!』
『・・・えぇ!?』
『和沙! それは、言い過ぎなんじゃないの!』
『いいの! わたしはサトエの事が心配だから言ってんのよ!』
『・・・・・・』
三人は、私を置いて帰ってしまった。
帰りに、もう一人の友達が、私のところに来てこう言った。
『和沙! 本当にサトエの事が心配だからあんな事、言ったんだよ!
だから、許してあげて。』
『・・・うん、分かってる。』
『それなら、いいんだけど...。』
『うん。』
『じゃあ! また連絡するね!』
『うん!』
私の親友の三人はそう言っていたのだけど、、、?
私は、やっぱり彼が好きで、、、。
・・・数日後、私は思いきって!
彼に、告白する事にしました。
『・・・ごめんね、呼び出したりして。』
『今日は、この後! ブレンブレンファイヤーのライブが
あるんだ! 麻生 みなかちゃんにも今日、ライブに行く事言って
あるから絶対に行かないと! 話って何かな?』
『私! あなたの事がずっと好きでした。 私と友達からで
いいので付き合ってください!!!』
『友達ならいいよ!』
『えぇ!?』
『話って、それだけ! じゃあ、僕行くね! 間に合わなくなっ
ちゃうから、また!』
『・・・ううん。』
私が、勇気を振り絞って彼に告白したけど、、、?
なんだか? 拍子抜けしてしまいました。
彼は? 私の事を“恋愛対象”として全く見ていなかった。
【ただの友達。】
・・・確かに?
親友の女の子、三人が言ったように。
私は、“ヤバい人を好きになってしまったのかと思いました。”
あの時ばかりは、そう思えて仕方がありませんでしたから。
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