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【明智小五郎シリーズ編】江戸川乱歩短編ミステリ作品ベスト3

※注意点※

・作者(真波)は短編作品を中心に乱歩を読み進めていますので、ランキングのほとんどを短編および中編作品が占めております。悪しからず。

・ネタバレ厳禁のルールに則り、結末やトリックが判らない程度で作品を紹介しています。


 江戸川乱歩といえば、「明智小五郎の生みの親」と連想する方も多いでしょう。

 本ランキングに登場するのは、乱歩(明智シリーズ)を語るうえで外せない選り抜きの作品。ファンならぜひ押さえておきたい話ばかりです。



【第1位】D坂の殺人事件


 明智ものの中では、2位の『屋根裏の散歩者』と非常に迷いました。ですが、本格ミステリの観点から本ランキングでは『D坂の殺人事件』を首位に押しました。


 D坂とは実際には「団子坂」のことらしいですが、ここで「団子坂の殺人」としないところにセンスが光ります。「団子坂の殺人」だと、物々しい殺人の舞台にはちょっと不釣り合いかも。明智先生が団子を頬張りながら事件現場をうろついてる場面が目に浮かびます。それはそれで読んでみたい気もしますが。


 実際には、主人公の「私」と明智小五郎がD坂にある白梅軒という店で冷やしコーヒーを啜っているときに、向かいの古本屋で殺人事件が起きていたことに気付く場面から物語が始まります。

 明智は物語の中で「私」から殺人犯の容疑をかけられるのですが、そこを持ち前の推理力で見事に打ち破り、真相を炙り出す――という顛末です。実は、明智小五郎が初登場する記念すべき作品でもあります。


 江戸川乱歩ファン、あるいは明智小五郎ファンを名乗るなら、何よりも先に読んでおきたい。

 謎解きの巧妙さも、本格ミステリ好きを唸らせる一作です。

 


【第2位】屋根裏の散歩者


 『D坂~』に惜しくも首位を譲りましたが、「殺人のシチュエーションが奇怪」という点では他作と比べて頭一つ抜けている印象の『屋根裏の散歩者』。


 物語は、郷田三郎という男が下宿屋の屋根裏を使って奇妙な趣味を始めるところから幕を開けます。風変りな趣味に段々のめり込む郷田ですが、そこから殺人事件を企て、遂には実行に移してしまうのです。やがて郷田の犯罪は、明智という名探偵の登場によって白日の下に晒される――という幕引きとなります。


 本作は倒叙もの(犯人である郷田の視点から物語が進む)なので、トリックや動機を推理するよりは、郷田の立場になって明智から次第に追い詰められるドキドキ感を味わえる一作です。


 さらに、探偵によって罪を暴かれる緊張感に他人の〇〇を〇〇する(ネタバレ防止のため伏字を使っています)行為の背徳感が加わることで、物語のスリルが増します。この背徳感は、屋根裏という舞台設定ありきの効果ですね。


 ちなみに、有栖川有栖先生の火村シリーズには、同題名のオマージュ作品があります。併せて読むことで、乱歩作品の面白さが倍増することでしょう。



【第3位】心理試験


 犯人VS探偵の攻防戦を楽しむなら、『心理試験』もおすすめ。


 苦学生の蕗屋清一郎が、下宿の家主である老女を殺害し金銭を奪うという犯罪計画を企て、決行します。事件はほどなく発覚しますが、遺体の第一発見者となった蕗屋の友人が大金を身に着けていたことから殺人容疑をかけられるのです。その後、蕗屋もまた家主殺害への関与を疑われ、“心理試験”いわゆる心理テストの一種を受けることに。


 ですが、蕗屋の心理試験の結果に疑惑の目を向けた男が。それが名探偵の明智です。蕗屋と警察・明智の駆け引き、そして蕗屋の運命はいかに――。


 こちらも『屋根裏~』同様に倒叙もの。犯人サイドで読み進める緊張感がよりクセになります。心理テストというテーマも、ミステリ好きの心を擽りますね。


こちらのベスト3は、乱歩作品の中でもいずれ劣らぬ傑作揃いです。

どれを取っても後悔なし。江戸川乱歩デビューするのなら、まずこのトップ3をぜひ手に取ってほしいと思います。

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