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第5話 深まる謎

 「で、何をしているんだ?」


 「案内です。あなたは仕事に戻って下さい」


 スタスタと歩くルナードに、ぴったりとくっついてくるダンザルに言う。


 「にしても彼女、大人しいな」


 「口がきけ……いえ、何でもありません。お戻りください。油を売っていたとマカリー様に報告しますよ」


 「お前さ、冷たくない? 彼女を紹介してくれてもいいじゃん」


 「はあ。ディアルディさんです。これで宜しいですか?」


 「へえ。ディアルディかぁ。俺、ダンザル。宜しくな。そうだ。明日、俺休みだから色々案内してあげようか?」


 「結構です!」


 「お前に言ってないだろう」


 「行きますよ!」


 ルナードが、がしっとディアルディの手を取ると、ディアルディが驚くがそのまま引っ張ってスタスタと歩いて行く。


 「すみません」


 ダンザルが見えなくなると、ルナードはパッと手を離した。


 「彼には近づかないで下さいね。神官ではありますが、あまりいい噂を聞きませんので」


 ディアルディは、わかったと静かに頷いた。


 「では、戻りましょう。あ、そこ段差がありますので、気を付けて下さい」


 手は差し出さないが、気遣いをするルナードにディアルディは少し戸惑っていた。自分に興味はないが、神官としての気遣いはある。


 「どうかしましたか?」


 何でもないとディアルディは、首を横に振った。


 「もしかして疲れましたか? ところで一つだけお聞きしたいのですが、マカリー様とどのようにお知り合いになったのでしょうか?」


 どう答えろと言うのだろうとディアルディは、眉をひそめた。話せないのを承知で、ここで聞いて来たのだ。


 「本当に口がきけないのですか?」


 ディアルディは、ドキッとした。疑われている! そう思った時、ルナードの手が伸びて来て、咄嗟にバシッと振り払った。


 「……失礼しました。戻りましょう」


 そう言うと、ルナードはスタスタと歩き出す。

 ディアルディは、ルナードが何故手を伸ばしてきたのかわからなかった。手は胸元に伸びて来ていた。


 何を疑ったんだ?


 前を歩くルナードをジッと見つめディアルディは考えた。


 ルナードも驚いていた。あそこまで拒絶されるとは思わなかった。まあ嫌な態度をとってきたのだから当たり前だ。

 ルナードにとって、一緒にいて好かれてしまっては困るからだが、今まで神官見習いとして過ごしてきて、そういう扱いはされた事がなかった。


 咄嗟でも声を出さなかった。話せないのは本当かもしれない。傷があるのも本当なのだろうか?

 首から胸元をしっかり覆った服を今日も着ている事から、そこに傷があるのだろうとルナードは推測していた。


 彼女は、マカリー様と企てはしていないようだ。


 朝食時を見ていて感じた事だ。


 本当に彼女を助ける為に連れて来た? しかし、腑に落ちない。この見栄えで、断り続けられたのだろうか?


 ラルーの話だと、第二婦人になるのが嫌だと言っていた。だったら娶ってくれると言う人が居れば、行くはずだ。

 それと、彼女とマカリーの関係も不可解だった。今の今まで、ディアルディは話にすら上がった事がなかったのだ。

 嫁探しをしていたとも考えづらい。二人の接点がわからないのだった。

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