第55話 ルナードは魔女
「宜しいか。一つ問いたい」
そう言ったのは、ウィドガだ。陛下が頷く。
「もしかしてお願いと言うのは、その孫の事だったのか? 『魔女』か?」
鋭い視線で直接魔女かとルナードにウィドガは問いかけた。ルナードはそうだと頷いた。
「何? 神官ではなかったのか?」
ミルアビは驚く。
「なるほど。ではこうでしたか。『魔女』である娘を助けてほしいとお願いに来た所、精霊パニックだった。陛下は、魔女である事をもみ消すかわりに、二人を彼らに預けた。それが彼らの企みだと知らずに」
「本当は男だったと?」
女に見えなくはないが、男に見えるルナードを見てイグーレンが言った。
「その時、確認はなさいましたか? 本当の性別を!」
「え……いや。そんな時間はなかった」
「ルナードは女だ! 俺が確かめた!」
疑う王臣達にディアルディが叫ぶ。
ちょっと何言ってるのよ!
凄い事を言い出したディアルディに、ルナードは赤面をした。
「な、なんと! 自分の孫を使って懐柔させるとはな。魔女が生まれて思いつきましたか!」
「言っていい事と悪い事がりますよ。サイグルドさん!」
さすがにマカリーも今の言葉には、黙ってられなかった。
「ふん。実際にディアルディ様を手なずけているようだが?」
イグーレンがジロジロとルナードをなめ回す様に見て言う。
「これ、あなたたち……」
「もういい加減にしてくれ! 私だって娘を男として育てたかった訳じゃない! 頼みに行ったらそんなところではなかった。私はただ、すぐに少しの間、お暇を頂きたかっただけだ。内密にしたかったので、陛下に直接言いに行ったまで。それがこんな事になって!」
ついフィタードは、耐えられなくなり叫んでしまっていた。慌ててディアルディを見ると、項垂れている。
自分は悪くないと言われていたが、本音を聞いてショックを受けていた。
「もう宜しいですか? マカリー様」
先ほどより低い声でルナードが問いかけた。
「すまない、ルナード」
はいの代わりに謝罪が帰って来る。
「私が殿下を懐柔? それはあり得ない。私は、男です」
ルナードがそう言うと、みんな何を言っているのだという顔をした。先ほど自分でも女だと認めディアルディも女だといい、父親のフィタードが切れたばかりだ。
「私が言っているのは、見た目の話ではなく心情の話です。あなたたちは、勘違いをしています。私は、男として育てられました。ですので、この様に立派な神官になれたのです。皆さんの期待を裏切って申し訳ありませんが、一ミリも殿下に興味などありません。神官として殿下をお守りしていたまでです」
「どうだが。では、何をしにあなたはここに来た?」
イグーレンの問いに、ルナードはほほ笑む。
「勿論、山に火を点ける様に指示し殿下を襲い、私を殺そうとした人物をひっ捕らえに来たのです。私は、その人物がわかりますからね」
「ほう。あくまでも本当に襲われたと言うのだな? では聞こう。その者は誰だ?」
サイグルドが問う。みながルナードに注目した。




