第20話 何か御用ですか?
帰り道ほろ酔いのルナード。足取りはしっかりしているものの、ディアルディが見てわかるほどご機嫌だ。
よかった。ミリサには幸せになってほしい。私では、彼女を幸せに出来ないから。
ルナードはふと、足を止めた。
「あなたも私では幸せにしてあげる事が出来ない。それでも本当にこの関係を続けますか?」
振り返らずにルナードは、ディアルディに聞いた。
あぁ、話せないんだったと振り返ると、ディアルディはこくんと頷く。
ルナードは、目を細める。男が三人こっそり後ろをつけて来ている様だったからだ。
ルナードはクルッと前を向く。
「彼らは、何を話している?」
精霊に話しかけ、男どもの会話を盗み聞きする。
『男二人と聞いたが、カップルじゃないか』
『でも、次ここを通る二人って言っていたよな?』
『取りあえず、やろうぜ』
ずいぶん物騒な話し合いをしてるな……。
ルナードは、ディアルディに近づくと手を取り走り出した。
「!」
ディアルディは、驚くも聞く事が出来ない為、一緒に走るしかなかった。だが、後ろから走ってついて来る足音でわかった。誰かに追われていると。
俺か? もう、バレたのかよ!
「くそう。早いな、あいつら。ディアルディさん、家まで止まらずに走って!」
そう言うとルナードは、ディアルディの手を離した。
ディアルディは驚いた。追って来ている三人は、ゴロツキどもだ。ルナードが勝てるとは思えない。ダンザルとは違う。
「何をしている! 早く行け!」
頷くとディアルディは走り出した。
マカリーさんに連絡して、ルナードはそれまでもつのか? って、ヒールが高い靴で走りづらい!
ディアルディが逃げ出したのを確認すると、ルナードは男どもに話しかけた。
「あなたたち、何かご用ですか?」
「うーん。ちょっくら頼まれごとしてな。悪く思うなよ」
「人違いだろう? 私は、神官だ! そこまで恨まれる事はしていない!」
「へえそうかい? 胸に手をあて考えたらあるんじゃないか?」
あるわけないだろう!
さっきの会話からして、頼んだのはダンザルさんではないだろう。というか、どう見ても男と女だろうが!
「とりゃ~!」
男がナイフを振り上げた。振り下ろそうとする手が一瞬止まる。その瞬間を狙ったかのように、ルナードの蹴りが男の腹に入り思いっきり吹き飛んだ。
見た目ひ弱そうな神官の強烈な蹴りに、二人の男は驚いた。吹き飛ばされた男は、気を失っている。
ルナードの蹴りが凄いわけではない。精霊の力だ。男の動きを一瞬止め、蹴りの一撃を強化した。元々ルナードは、もしもの為に体術的なモノを教わっていた。これは隙を作って逃げる為のものだ。
「お前、本当に神官か!?」
「あぁ、ごめんなさい。今は、見習いだった」
「くそう。バカにしやがって!」
男がナイフを握りしめ、またルナードに襲い掛かって来た! が、そいつも蹴りで一発だ。
あと一人……。って、しまった!
もう一人は、ディアルディを追いかけて行っていた!




