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【書籍化・コミカライズ】ガラパゴ ~集団転移で無人島に来た俺、美少女達とスマホの謎アプリで生き抜く~  作者: 絢乃
番外編

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077 手島祐治 7日目

 5日目が終わる時点で、手島は生活基盤を固めていた。

 あとは来たる日に備えて重村の力を底上げしていくのみ。


 6日目も重村と共にボスを倒して回る。

 そうして、谷の周辺にある拠点の大半を掌握するのだった。


 ――7日目。


「思ったより早かったな。いや、こんなものか」


 手島が朝食を食べながら言う。

 テーブルに置いたスマホにはグループラインが表示されている。


「手島さん、谷のグループの解散だ! 動く時だ!」


 重村が声を急かす。

 その顔には自信が満ちていた。

 何度もボスを倒した経験のおかげだろう。


「まぁそう焦るな」


 手島は落ち着いている。

 今にも洞窟から飛び出しそうな重村とは対照的だ。


「どうせすぐには拠点の獲得に動かないさ」


「どうして分かる?」


「今まで自分で拠点を獲得しようとしなかった根性なしだぞ。可能な限りボスとの戦闘を避けたいと考えるのものだ」


「なるほど」


「おそらく大半は藤堂の拠点を目指す」


「この島で成り上がった先輩か」


「藤堂の拠点は谷から徒歩で数時間の距離だ。それに谷の拠点以外で居場所の知られている拠点は藤堂のところしかない。そうなると、大半の人間は藤堂の拠点を最初に目指すだろう。入れてくれって懇願する為にな」


「たしかに」


 そこで重村はハッとした。


「それって、藤堂さんが受け入れたらやばくないか? 俺達の計画」


 重村は「そんなことない」という回答を期待していた。

 しかし、手島の回答は「まぁな」でだった。


「谷から流れた連中を藤堂が受け入れたら計画は失敗に終わる。拠点の拡張に限度があるのかは不明だが、一つの拠点で谷の連中を全員収容できるだけの規模にすることは可能だからな」


「おいおい、どうするんだよ」


 重村は思わず席から立ち上がった。

 居ても立ってもいられなかったのだ。

 だが、次の瞬間にはシュッと座り直していた。

 里桜に「おすわり!」と叱られたからだ。


「お前の懸念はもっともが、そうはならないさ」


「なんでだ」


「これまでのラインを見る限り、藤堂は人数を増やしたがってはいない。色々と情報を発信して協力的な姿勢は見せているものの、拠点に人を受け入れることだけは消極的だ」


「言われてみればそうだな……。前に誰かが冗談半分で入りたがっていた時もやんわりと断っていた気がする」


「それになにより、藤堂は王になりたがっていない。新たに誰かを入れるとしたら、既にいるメンバーの友人くらいだろう。あとはよほど気に入った人間か」


「なら安心なわけか」


 手島は「そういうこと」と頷き、優雅に朝食を楽しんだ。


 ◇


 昼、藤堂大地がグループラインで宣言した。

 俺達のグループには誰も入れない、と。

 それによって、グループラインでは藤堂に批難が集中した。


「わざわざ宣言するとはお人好しな男だな」


 手島はラインを見ながら「ふっ」と笑う。

 この日の作業は定置網漁だけで、ボスとの戦闘は行わない。

 漁が終わると、手島達は拠点に戻った。


「手島さん、俺はまだ動かなくていいのか?」


 拠点に到着したところで重村が尋ねた。


「今日はまだ動かなくていい。動くなら明日からだ」


「分かった」


 手島達は洞窟に入ると、それぞれの活動を始めた。

 里桜はキッチンで夕食の準備を始め、武藤は部屋で瞑想する。

 重村は手島の作った作業場で剣を研ぐ。


「さて、様子を確認しておくとするか」


 手島は自室に戻り、個別ラインを送る。

 相手は安岡だ。


=========================

手島:谷のグループが解散したらしいが、どうなっているんだ?

安岡:あの陰キャ共、拠点に引きこもったまま出てこねぇ

手島:安岡はまだ谷の拠点にいるのか?

安岡:そうだ。入口でずっと待ってる。持久戦さ

=========================


 手島はニヤリと笑った。


安岡(コイツ)は読みやすくて助かるな」


 この展開は手島の想定したものだった。

 安岡の性格なら、解散と言われてもすぐには動かない。

 持久戦を仕掛けるはずだ、と。


「俺達の為にも安岡には頑張ってもらわないとな」


 手島は一息つくと、再び安岡にラインを送る。


=========================

手島:販売を使ったお金の渡し方は分かるか?

安岡:グループラインで誰かが言ってたやつだろ? 分かるぜ

手島:ならそこらの石を10万で出品しろ。俺が買ってやる

安岡:いいのか?

手島:もちろんだ。持久戦をするなら金がいるだろ?

安岡:そうなんだよ。採取だけだときつくてな。魚は釣れないし

=========================


 手島は安岡が出品したであろう石を購入する。

 1個10万の石は3個も売られていたので、全部を購入した。

 購入後、安岡に「どうだ?」とお金が入ったか確認する。


『たしかに10万入った。ありがとう』


 安岡の返事を見て手島は思った。

 なんと白々しい奴なのだ、と。


 手島は資金提供を持ちかける直前、販売リストで確認していたのだ。

 10万ptで売られている石がないことを。


 つまり、3つあった10万の石は直後に出品されていた。

 状況を考えると、安岡が出品したことは明白だ。

 なのに安岡は、いかにも1個分の代金が入ったように言っている。

 安岡のそういう小さいところが手島は嫌いだった。


「これで谷の拠点は死んだな」


 安岡が張り付いている以上、谷の拠点に人が増えることはない。


「あとは……」


 手島は安岡との会話を切り上げると、別の人物に話しかけた。

 その相手にも資金提供を申し出て、無償でお金を送る。


「これでよし」


 今度の相手は3年の鈴木芳雄(よしお)

 谷のグループのリーダーをしている男だ。

 つまり、現在進行形で安岡と敵対している張本人。


 手島の狙いは重村が王になるまでの時間稼ぎ。

 その為には、鈴木にも粘ってもらう必要があった。

 根を上げて拠点を開放されては困る。


「どちらも相手の資金がもうじき底を突くと思っている……滑稽だな」


 なかなか悪そうな顔をする手島だった。

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