表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ】ガラパゴ ~集団転移で無人島に来た俺、美少女達とスマホの謎アプリで生き抜く~  作者: 絢乃
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/91

060 手島祐治 2日目③

「そこの君、待ってくれ」


 手島が背後から声を掛けると、男子生徒はビクッと体を震わせた。


(声を掛けるまで気づいていなかったのか……。鈍い男だな)


 この時点で手島は、男子生徒の値踏みを始めていた。


「本当に他の人がいたんだ」


 それが男子生徒の第一声だった。


「その様子だと他の人間と会うのは俺達が初めてか」


「そっちは違うようだね」


「なんで分かるの!?」と驚く里桜。


「いや、分かるだろ。俺の話し方から推測できたろ」


 手島は呆れたように言うと、男子生徒を見た。


「俺達は拠点が欲しくて洞窟を探しているんだ。場所を知らないか?」


「知ってるよ」


「「――!」」


 里桜と武藤の眉がピクッと動く。

 手島は無表情のままだ。


「よかったらその洞窟の場所、教えてくれないか」


「いいけど、いくらで?」


「いくらって、金を取るの!? 教えるだけで!?」


 里桜が食ってかかる。

 今にも槍で攻撃を始めそうな雰囲気だ。

 そうならないよう、武藤が目を光らせている。


「情報を提供するのだから対価を求めるのは普通のことだろ。別に嫌ならいいよ、勝手に探してくれ」


 むすっとする男子生徒。

 手島は「まぁまぁ」と宥めてから言う。


「額はいくらが希望なんだ?」


「口頭説明なら1万pt。現地まで案内するなら5万だ」


「ちょ! ぼりすぎじゃない!? なめすぎでしょ!」


「黙ってろ、里桜」


「だって! この陰キャ――ッ!」


 そこで里桜の言葉が止まる。

 武藤が手で口を塞いだからだ。


「俺達は現地まで案内してもらいたいが、だからといって5万は支払えない」


「だったら3万でいいよ」


「3万か」


 手島はジーッと男子生徒の顔を見た。

 相手も同じように手島を見ている。


(この男、陰キャのくせに肝が据わっているな。俺や真が冷静だからいいが、大抵の人間は里桜のように怒るものだ。そうなると何をされるか分からない。なのに堂々としている)


 手島は男子生徒に対する値踏みを修正していた。

 ただの陰キャラから、度胸のある陰キャラに。


(ただ、交渉の仕方は下手だな。最終的な落とし所は2万5000pt辺りで見ているのが丸分かりだ。今は1万ですらほしいはずなのに、この手の人間は妥協点より下だとあっさり交渉を決裂させる。かといって、貴重な金をこんなところで浪費したくないな)


 手島は少し考え込んでから言った。


「条件を変えさせてくれ」


「条件を変える?」


「そちらは俺達を現地まで案内する。この条件は変更ない。その代わり、こちらはお金より良い条件を提示しよう」


「お金より良い条件? その女を好きにさせてくれるのか?」


 里桜がより険しい表情で何かを喚く。

 だが、武藤に押さえられているせいで「んごぉ!」としか聞こえない。


(やはり陰キャだ。冗談ぽく言っているが、女に飢えて仕方ないってところか。この交渉、もらったな)


 手島は心の中でニヤけつつ、無表情で言った。


「ふっ、面白い冗談だ。だが違う。俺が差し出すのは、俺達とフレンド登録を行う権利さ」


「フレンド登録? それが何の役に立つんだ?」


「俺達は洞窟のボスを倒して拠点をゲットする。拠点に入れるのはフレンドだけだ。つまり、俺達のフレンドになれば、君も拠点に入ることができる。もう外で怯えて過ごす必要はない」


「俺をパーティーに入れてくれるってわけか」


「そういうことだ」


「たしかに良い話だが信用できないな。拠点の獲得後にフレンドリストから削除されたらおしまいだ」


「そう言うと思ったよ。だから担保として3万を渡しておこう。もしフレンドリストから削除されたら、その3万を持ってどこかへ消えればいい。逆にこちらが約束を守って君を拠点に住まわせ続けたら、3日後に担保の金を返してくれ。これなら問題ないだろ?」


「たしかに……」


 男子生徒は手島を見たまま必死に考える。

 手島の話に何か落とし穴があるのではないのか、と。

 だが、どれだけ考えても落とし穴らしきものは見当たらない。


「どうする? 時間が無いからさっさと決めてくれ。決裂なら俺達は自力で探すだけだ」


「……いいだろう、その条件で交渉成立だ」


「ありがとう。ならお金を渡すよ。そこらの石コロか何かを1万で3つ出品してくれ。俺達がそれぞれ買わせてもらう」


「分かった」


 もはや主導権は手島にあった。

 男子生徒は言われたことに従うのみ。


「祐治、なに勝手に決めてるのさ? それになんなのよ今の条件。私、こんな陰キャと一緒とか嫌なんだけど」


「そんなこと言うな。彼は別に悪気があったわけじゃない。それに提示してきた条件だって妥当性があった。ふっかけてきたわけじゃない。怒る要素はどこにもないだろう。だから俺は彼をグループに入れたいと考えたんだ。それより、彼の出品した石を買うぞ」


「むぅ。わかったよぅ」


 手島達はそれぞれ、男子生徒から1万ptで石コロを購入する。

 里桜は購入した石コロを召喚すると、即座にどこかへ投げ捨てた。


「これで交渉成立だ。案内してもらう前に名前を教えてくれないか。俺は手島祐治。彼女は桜井里桜。隣の巨人は武藤真。全員3年だ。よろしくな」


 男子生徒は「よろしく」と返し、自分の名を名乗った。


「俺は2年の重村良文(よしふみ)だ」


お読みくださりありがとうございます。

評価・ブックマーク等で応援していただけると励みになります。

楽しんで頂けた方は是非……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ