008 ダリア・メランコリック②
ダリア・グローリアスは懊悩していた。
言わずもがな、彼女のことである。
そして、自身の気持ち悪さを認識し、自己嫌悪に陥っていた。
――晩。
私、少ししゃべりすぎたかも。絶対引いてるよね?
あれ、しかも私一度も名前を呼ばれてなくない?
もしかして、嫌われちゃったかな?
……いますぐでも謝りに行ったほうがいいかな?
あ、でも、今謝りに行ったら逆に迷惑かも?
――深夜。
もし、本当に嫌われてたらどうしよう?
……嫌われたくないな。
なんだかすごく哀しくなってきた。
――未明。
もう駄目だ。
きっと嫌われた。
――明け方
「……しくしく。……しくしく」
――そして、日が昇った!
「…………」
……私って結構面倒くさいかも?
一通り泣いたら、気持ちは落ち着いたけども、昨晩から変わらず気は重いままだ。
気が重いどころか、身体もだるい。
一睡もできていない。
私は寝台を降り、適当に身なりを整え、顔を洗おうとに外に出る。
呆然とツバキに次会ったら謝ろうと思った。
「あ……、おはようございます、ダリアさん」
「おあよー」
「……随分とお辛そうですが、大丈夫ですか? ダリアさん」
「ん? んー?」
働いていない頭が違和感を感じた。
――あれ、なんだっけ?
ツバキに謝るんだった?
「……お水、汲んでおきましたのでよければ。 ダリアさん」
「んん……」
何かが妙に引っかかる。
ツバキが私を見てキョトンとしている。可愛い。
いや、そうではない。
何か――。
――そもそもなんで私はツバキに嫌われているんだっけ?
「?」
「名前!!!」
「っ! すみません!」
「名前! 初めて呼んでくれたね!」
「……すみません、お嫌でしたか?」
「違うの! 呼んでくれて嬉しいの! ねぇねぇ、もう一度呼んでみて?」
「?? ダリア、さん?」
「ダリア! ダリアって呼んで?」
「でも……、ダリア?」
「ツバキ!」
「は、はい。ダリア」
「ツバキ!!」
なんだかとても幸せ。
この一晩、自分は何を考えていたのだろうか。
思い返せば、なんてこともない馬鹿な話であった。
でも、今すごく嬉しいからそんなことはどうでもいい。
「あのさ、その、……これからよろしくね!」
「……はいっ!」
「結婚しようね!」
「はい?」