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異世界で新たな人生を  作者: ミト
幼少期
3/45

まずは状況確認

 朝。

 最初に起きてするのは体の確認。といってももう四歳になるのだから、自分の身に起きたことは受け入れている。

 どうやら私は、世に言う、生まれ変わった、らしい。それも異世界に。

 この手の小説を読んだこともあるので、理解自体は、できる。…………現実に起こるとは思わなかったけど。

 一応私としては未練なく死んだつもりだったんだけど、心残りでもあったのかな。ここらへんはいくら考えても答えは出ない。

 まあ、生まれてきた理由はわからないけど、折角の新しい人生、楽しまなきゃ損! …………と言いたいんだけど、無視できない問題が二つほど。

 一つは、どうやら新しい私の体は人以外の血をひいているらしい、ということ。といってもこの世界は人以外の種族も多いらしく、私の外見も概ね人型がベースなのでそこは問題ない。問題なのは私の種族が希少なのと、厳密な種類がわからないからだ。

 私の種族は魔獣種――正確には魔獣人種というらしいが魔獣種で定着している――らしい。

 特徴として、体の一部に獣の特徴が見られること。獣耳の人もいれば、私のように瞳孔が縦になっている人もいる。ただこの特徴だけでいえば、獣人種にも同じ特徴がある。違うのは、獣人種が身体能力に特化しているのに対して、魔獣種は体内魔力値に秀でていること(魔獣種の身体能力は人の平均値よりやや高い)が挙げられる。

 分類としては獣人種に似た特徴の動物がいて、例えば猫の特徴を持つ獣人種は猫の獣人、と大雑把に分けている。魔獣種も同様に、犬の特徴を持った魔獣種は、手前に『魔』をつけて魔犬の魔獣人、とくくるらしい。で、私の種類は、というと……不明。魔獣種というのはわかっているんだけど、何の種類の魔獣種かはわからない。解りやすい身体的特徴があったらよかったんだけど、今のところ私の外見は眼以外に人とこれといった違いがない。髪の色は銀色、眼は薄紫の色をしているけど、この世界は魔獣種以外にもそういった色合いの種族は多いので、あまりあてにならない。

 そもそも、種族とかは血で決まるんだから親の種類がわかればいいんじゃないか? と思うが、あいにく、私の親も不明だ。なにせ、生後間もない、首がようやくすわってきた赤ん坊だった私は、深い森の、大きな樹の洞の中で発見されたらしい。

 ちなみに、今現在どこで暮らしているかというと、発見された森から、山を一つ越えたところにある、孤児院だ。あの男性は、ここで子供の面倒をみている大人の一人だった。あの森に入るのは危険なんだぞ、と言われたが、なら何故わざわざ山を越えてその危険な森に来ていたのかというと、いろいろと特殊な孤児院なのだ、ここは。

 さて、いろいろと前置きが長くなってしまったけど、問題の一つ目は私の生まれにいろいろと不明な点があることだ。が、私にとってこのことはさして問題ではない。

 問題は二つ目――。

 コンコン。

「メルー。起きてるかー?」

 あれ、もうそんな時間? 皆もう食堂で朝飯か。

「起きてる」

 そう返すと、扉が開いて、朝食をお盆に乗せた、褐色の肌の女性が部屋に入ってきた。

 彼女はベリーさん。本名かは不明だけど、ここで私たちの面倒をみてくれてる人の内の一人。

「おはよーさん。その様子だと熱はもう下がったみたいだね」

「ん。もう平気」

「あんたも難儀な体だねえ。季節が変わる度に寝込むなんて」

 そう、問題なのはこれ。

 私の新しい体は、またしても、体が弱かった…………。

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