二度目の始まり
暗い。
おっかしいな、いつまで続くんだ? これ。
確か鉄骨の下敷きになったのに痛みがない。体は凄く重くて動かないけど。
ジャリ、ジャリ。
ん? 足音? 近くに誰かいるみたい。
「――……―――………」
何を言ってるのかよく聞こえない。とりあえず声を出して気づいてもらわないと。
「…………おぎゃあ、おぎゃあ!」
―――……………は?
「……? ―――……?」
野太い男性の声だ。何を言っているのかわからないけどそれはわかる。
脇腹に何かの感触。男性の手だ。あれ、鉄骨は? もう撤去されてた?
……じゃあなんでこんなにここは暗いの?
あっさり体を持ち上げられる。うわ、眩しい! 日陰にいたらしい。あれ? けど道路に日陰ができるような場所あったっけ?
おそるおそる眼を開けてみる。瑞々しい新緑の若葉が視界一面に広がっていた。
………………森?
咄嗟に顔を手で覆うとするけど何故か出来ない。何故?
「………あ――う、う――えぁ」
言葉も喋れない。しかもさっきから気づきたくなかったけど体のサイズが異様に小さいような?
「―――! ―――……」
男性が何か言ってる。……何を言っているのかわからない。これは声が聞きづらいんじゃなく、喋っている言葉がわからないんだ。
私の目線は男性よりも上にある。というのも男性が私を持ち上げてジッと見ているからだ。そして視界の隅に見える私のものらしい手は、…………赤ん坊のように短くて小さかった。
………………訂正します。赤ん坊のような、ではなく、正真正銘、赤ん坊の腕でした。
…………なんで?