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第3話:家族のふりは、思ったより温かい
「兄妹、という設定だ」
レオンがそう言った時、
私は一瞬だけ胸が痛んだ。
「……兄、ですか」
「不都合か」
「いいえ。安全です」
恋じゃない。
恋じゃないなら、死なない。
そう言い聞かせる。
食卓を挟んで座る。
向かいではなく、斜め。
視線が合わない距離。
なのに、沈黙が重くない。
「食べられるか」
「はい。ありがとうございます」
匙の音が、静かに響く。
家族って、
こんなふうに静かで、温かいものだっただろうか。
「……レオン」
名前を呼んでから、
少しだけ心臓が早くなった。
「呼ぶなと言ったか」
「いいえ。ただ……」
「ただ?」
「呼んでも、平気なんですね」
彼は一瞬考えた。
「……お前が死なない距離なら」
胸が、少しだけ、きゅっとなる。




