表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋をした瞬間に死ぬ呪いなので、無口な騎士様とは家族のふりをします  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/7

第1話:恋をしたら死ぬ、と告げられました

「――あなたは、恋をした瞬間に死にます」


そう告げられたのは、

花が咲き始めた春の日の午後だった。


医師の声は淡々としていて、

まるで天気の話でもするみたいに軽かった。


「正確には、心拍数が一定以上に上がった時です。

感情の高ぶりが引き金になります」


私は、しばらく黙っていた。

驚かなかったわけじゃない。

でも、叫ぶほどでもなかった。


「ああ……やっぱり」


それだけが、口から出た。


幼い頃から、胸が苦しくなることは多かった。

誰かに優しくされると、息が詰まる。

期待されると、視界が白くなる。


それが全部、呪いの症状だったなんて。


「回避方法はありますか?」


私がそう聞くと、医師は首を横に振った。


「恋をしなければいい」


簡単で、残酷な答えだった。


「……分かりました」


私がそう言うと、医師は少しだけ驚いた顔をした。


「怖くないのですか?」


「怖いです」


でも、と私は続ける。


「恋をしなければ、死なないなら。

……生き方は、選べます」


その日の帰り道、

王城の廊下で一人の騎士とすれ違った。


背が高く、無口そうで、

視線すら合わせない冷たい雰囲気。


「――エルナ」


彼は、私の名前だけを呼んだ。


護衛に任命された騎士、レオン。

王国でも感情を見せないことで有名な人。


「今後、あなたを守る」


短い言葉。

それ以上、何も言わない。


……この人なら。


私は、ふと思った。


恋をしない。

心拍も上がらない。

安全な距離で、生きられる。


「……家族のふりを、しませんか」


私がそう言うと、

レオンは一瞬だけ、瞬きをした。


「合理的だ」


それが、彼の答えだった。


こうして私は、

恋をしたら死ぬ呪いを抱えたまま、

無口な騎士様と“家族のふり”を始めた。


――この関係が、

一番危険だとも知らずに。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
呪いの設定がとても鮮烈で、一文目から一気に引き込まれました。 「恋をしなければいい」という残酷な合理性と、主人公がそれを受け入れて“生き方を選ぶ”静かな強さが印象的です。 感情を見せない騎士との「家族…
「恋をした瞬間に死ぬ」という重すぎる呪いを、ここまで静かで淡々とした温度で描けるのがすごいです。 冒頭の医師との会話から、主人公が取り乱さず「生き方を選ぶ」と言い切る姿に、いきなり心を掴まれました。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ