ホットケーキ乱舞
敵はお洒落なパンケーキだった。
『カフェ』とかいう言葉が似合いそうな容姿だ。頭の上に生クリームを載せて、すました顔で俺を挑発している。
俺は昭和の香り漂うホットケーキだ。
日本のみの呼び名! 俺こそが日本男児!
しかし世界中にその名を轟かすパンケーキは、そんな俺を見下すように、上から目線で言った。
「キミは時代遅れだ。しかもガラパゴススイーツ──略してガラスィーだ。昭和の台所で主婦にでも焼かれてるのがお似合いだ」
俺は答えた。
「ほっとけ!」
「ほっとけ!」
「ほっとけー……」
目をカッ! と見開き、叫んだ。
「ホットケーキ乱舞!」
いきなりの超必殺技だ。
バターとメープルシロップを迸らせながら突進し、ヤツの全身にあり得ないほどの優しい温度でホットケーキを叩き込む!
「ホットケケケケケケケケケケケケケケ!!!」
「あびぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!」
まるで俺の拳に吸い付くようにパンケーキが俺の連打を喰らいながら、断末魔をあげる。
まるで『あしたのジョー』で韓国人ボクサー、キム・ヨンピルが繰り出した超必殺技『チョムチョム』のごとく、しなやかなパンケーキは俺の拳にくっついた。
パンパンパンパンと快い音がキッチンに響いた。
パンパンパンパン!
パンケーキ!
俺は膝をついた。
「フッ……。負けたよ」
潔く負けを認めた俺は白い灰になった。




