『狸の女の速記録』
掲載日:2025/12/06
木こりのじいさまが山の中の小屋に、若い者と一緒に泊まり込んで木を切っていた。ある夜、その小屋へ、一人の妙齢の女がやってきて、道に迷ったから泊めてほしいとか何とか言う。じいさまは、いかにもあやしい女だ、狐か狸じゃねえかとあやしんでいたが、寒い日だったので、火の近くの座を勧めると、しきりに若い者のほうへ、足首を見せたり、太ももを見せたり、もっと奥を見せたりしていたが、もっと奥の部分が、火に当たっていかにも気持ちよさそうにあくびをしたのを見て、じいさまは合点して、姉様、寒いからこれでもかぶるといい、と空俵を逆さにかぶせて、棒っきれでこれでもかと殴りつけた。若い者はびっくりして、じいさま、気でも狂ったか、と止めようとしたが、じいさまは、こいつは女じゃねえ、けだものだ、と言う。若い者は、そんなことがあるものか、と思ったが、俵の中からけだものの声がするのを聞いて、じいさまと一緒に殴りつけた。
俵を開けてみると、二匹の狸が入っていた。二匹で肩車をして、一人の女に化けていたのである。この話は、速記録に書かれていたものであるが、いつの時代のどこの話かもわからない。
教訓:人をばかにした話である。




