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ポーク・フィレ

【異界の日替わりランチを出す店】


「へいいらっしゃい! 2名様!」


 店員に店を通された建成とスタンウェイ。

建成は、もうこの時点で憂鬱だった。

だがまだ希望は捨てない。この城は、

ループが終わると正直村と嘘つき村が入れ替わるような城だ。

もしかしたら、ランチの内容も変わって、前回の虫料理が肉料理になったりするかもしれない。


 ささやかな祈りを込めて、建成は大将に訪ねた。


「大将! 今日のチャレンジは……」


「あい!! 今日は、コルセット・ポークフィレ10キロチャレンジでさあ!!」


 ……ポークフィレ!? やはりメニューもループ毎に変わるのか! よし! これなら勝算はあるかもしれない!!


「スタン、 今の……なんとかポークフィレっていうのは、なんだい?」


 建成は、確認のためにスタンウェイに問うてみた。

スタンウェイは……険しい顔をしていた。


「コルセット・ポークフィレ……それは、主に湿地帯の……動物の死骸に湧く虫でございます。

 元々は魚の餌として有名な虫なので人間界では珍味とされております……」


「虫!!」


 虫!! やっぱり虫!! それもなんだか、イメージの良くない虫!!


「……美味しいの?」


「私は食べたことありません……しかし噂によれば……」


 と、スタンが言い終わる頃には……


「へいおまち!! コルセット・ポークフィレ10キロチャレンジ!! 制限時間は20分でさあ!! 

 頑張って召し上がれ!!」


 と、木の桶いっぱいに、白く、ウネウネとした虫が並々。それだけ見れば盛りそばみたいだが、

よく見ればウネウネ動いている。

そして……


「くっさ!!」


「そうなのです! 何せ動物の死骸を食べている虫ですので!! 」


「なんでポークフィレなんて名前なんだ!」


「この虫の好物が、死んだ豚のフィレ肉だからです。……食べられそうですか?」


「無理だ!! 無理!! ムーリー!!」


 もう見た目で圧倒されてしまった建成は、目まで閉じてしまい鼻も摘んだ。

……その時である。


「もう」


 いつの間にか、外で待たせていたはずのいったん木綿が、チャリオットを引きずって狭い店内に上がり込んでいた。

お腹が空いているのだろうか。


 ……そして……


「もうもうもうもうもう……」


 むしゃむしゃと、コルセット・ポークフィレを食べ始めたのだ。


「お前……」


「もうー。もうもうもうもう。ウマーー!!」


 建成は、馬が「ウマー!」と鳴くのを初めてみた。


「お!! お客さんいい食いっぷりだねえ! どんどん出てるから平らげてくんねえ!!

 まだまだあるよう!!」


「もう」


 そういえば、階段の上り下りを今回は全部、いったん木綿にやらせていた。そして、木星に加えて重量のある鉄製のチャリオットを引かせていたのだ。

カロリーの消費量は凄まじいだろう。


 いったん木綿は、コルセット・ポークフィレを次々と、木の桶を舐め回すまで平らげてはお変わりをし……



「もう。げぷ」


「おめでとうございますーー!! チャレンジ成功でございますー!!!」


 大将がチャレンジ成功を讃える鐘を鳴らす。会場が拍手で包まれる。

いったん木綿は、コルセット・ポークフィレ10キロを完食した!!


「お前……!! いったん木綿よ! お前こそ忠馬中の忠馬だ!!」


 建成は、その見事な食いっぷりに、自分も一つくらいなら食べてもいいかな、とすら思えてしまった。

店主が、小さな箱を持って近づいてくる。


「チャレンジ成功! おめでとうございます!! こちら景品となっております!!

 『賢者の指輪』でございます!!」


 建成達は、『賢者の指輪』を手に入れた。


「……馬がチャレンジに参加するのは、反則じゃないんだな……」


 建成、スタンウェイ、いったん木綿は、定食屋を後にした。


【なんの変哲もない石畳の通路】


「『賢者の指輪』……ですか。これはきっと、正直村にいる賢者に渡すのではないでしょうか」


「そうだな。よし、いったん木綿。……いったん木綿?」


 いったん木綿は、お腹がいっぱいになり、その場で寝転んでしまった。

おやすみタイムである。


「無理もありません。何せ、10キロも食べたんですから……」


「ううむ……ん?」


「どうしました? 建成」


「いや……気のせいかな?すぐそこで物音が聞こえたんだ……」


「……『あやつ』かもしれませんよ。とりあえず身を隠しましょう」


「そうだな。『ユーレイ』め……とっちめてやる!!」


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