ご挨拶?
「コレットの兄、ジルベールです。女神の使徒殿、まずはお名前を伺ってもよろしいか?」
「はっ……これは失礼いたしました」
いまさら、自分が要人たちに囲まれていることに気づいたらしい。
ディーはさっと居住まいを正すと、ちょこんとお座りポーズになった。
「私の名前はディートリヒ。女神に殉じた神官の身を依り代に、女神の手で生み出された使徒です」
「女神様がお作りになった存在なのですか」
「はい。私の体は血の一滴までコレット様のもの。生涯の忠誠を誓っております。兄君様においてはどうか、おそばに侍ることをお許しください」
す、と頭をさげる。
ジルベール兄様は苦笑して肩をすくめた。
「女神様のお導きを受け入れましょう」
「寛大なお心、感謝します。また……私は女神の遣いといっても末席にございますので、敬語は不要です。お気軽に名前でお呼びください」
「わかった、そうしよう。ディートリヒ」
ディーはトコトコ歩いてくると、私の隣に座り直した。
膝の上に抱っこはダメだけど、隣に座るのはアリらしい。
ディーの基準はよくわからない。
「なるほど、声は同じだな」
オスカーが重い声をもらした。
ユキヒョウの姿を見たことがなかった彼は、まだ頭の中でふたつの姿がつながってないみたいだ。
「俺は噂の神官殿が見てみたいんだけど」
逆に人間の姿を見てないジルベール兄様が首をかしげる。ディーは首を振った。
「変身はご容赦を。巨大な白銀の鎧を作り出したことで、女神の奇跡の力を使い果たしてしまいました。今はユキヒョウの姿で会話するだけで精一杯なのです」
「もう戻れないの?」
「邪神の悪意をくじくことで運命の女神様のお力が増します。イースタンからの侵攻を食い止め、コレット様を兄君様のもとへとお連れしました。邪神の国アギトのたくらみを打ち破ることができましたので、徐々に力が回復するでしょう」
「なるほど、元に戻れなくはないが、時間がかかるのか」
「失礼ですが」
騎士団長ダリウス卿が言葉をはさむ。
「コレット姫をお守りするには、そのお姿では少々不安があるのでは」
「お恥ずかしながら、その通りです」
ディーは素直にこくりとうなずいた。
「ユキヒョウの姿では、戦う術がツメと牙しかありませんから」
イースタンの城下町ではゴロツキに蹴られて吹っ飛ばされてたもんね。
「もちろん、最終手段は用意しておりますが……」
「何をする気なの」
「秘密です」
こう言うからには、本当に何かあるんだろうな。
怖いから聞かないけど。
「姫君のおつきが使徒殿ひとりでは、周りに侮られる可能性があります。しばらくはオスカーも護衛につけてはいかがでしょうか」
「オスカーなら、信用できるし腕も立つから安心ね」
「コレット様の御心のままに」
「……よろしくお願いします」
オスカーがうやうやしく頭をさげた。
こちらとしても、いきなり知らない騎士をつけられるよりは、気心の知れた幼馴染のほうが気が楽だ。
「さて、妹の報告は聞いたし戦闘も収まったから、早速城に帰ろうか……と言いたいところだけど、そうもいかないんだよね」
ジルベール兄様はへらっとのんきな笑い顔を浮かべた。
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