第7話 手荒ナ歓迎会
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同日、夕方頃。
アオギリ区のとある場所の住宅街に、一体のケモノがいた。
そのケモノは、何者かと玄関を境に話し合っている。
玄関の外で話しているケモノは男型の体型で灰色の体毛にスーツを着て、常にベルトに様々な物を付けており、目の下には隈が遠くから一目見ただけでわかるほどできており、見た目よりも老けて見える容姿で、身長は150より少しあるぐらいである。
このケモノの名前は「左 敦」。
TRIGGERの一員である。
左「えぇ、ではこれでこの件は終わらせていただきます。これからもどうぞ宜しくお願いいたします。」
ケモノ「えぇ、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。」
左「では、さようなら。」
ケモノ「さようならー!」
左はこの場から去り、落ちていく太陽を見ながら、拠点へと帰っていこうとする。
が、その時。
誰かが左に声をかけ、その声に左は足を止める。
?「左、敦、だな。」
左「誰です?私は一刻も早く帰らなければいけないのですが。その声、私の知人ではないようですが。」
左は、ゆっくりと、声が聞こえるほうを見る。
そこにいたのは、灰色のローブをフードを深く被って着ており、顔はよく見えず、恐らくだが男型と思われる体型の手袋を付け、一切肌を見ることができず、まるで己が見られてはいけない存在であると言っているかのような見た目をしていたケモノと同じ型の生物だった。
?「私の姿、驚きましたか?」
左「いえ、別に人外と出会うのは少なくないので。それで、要件は何ですが。できれば早くしていただけると嬉しいのですが。」
?「要件は簡単ですよ。少し、ついてきて欲しい場所があるのですよ。来ていただければ、それほど時間も取りませんし、すぐに帰っていただいて構いません。」
左「なるほど。そこに行くまでどれほどですか。」
?「10分もあれば着きますよ。その後少し、5分以内で要件を終わらせます。」
左「...まぁ、行ってやりましょう。」
?「そうですか、では、ついてきてください。」
そういって、ローブの何者かは歩き出し、左はそれについていきながら、スマホを操作して、時雨達に連絡をするのであった。
少しした後、二体はどこかのビルの前まで来ていた。
どこか綻びた印象を受けるそのビルの地下階段を二体は下っていく。
1分も経たない内に二体は下まで辿り着き、二体は中へ入っていった。
入ると同時に、ローブの何者かは右に避ける。
その部屋は、天井に吊るされた唯一のランプが部屋を照らしている、コンクリートで作られた部屋だった。
左「おやおや、全く。手荒な歓迎ですね。」
そう言って、左は後ろ向きに回転しながら前に移動する。
それと同時に、左がいた場所に、ケモノ一体であれば余裕で覆ってしまうほどの黒い何かが落ちる。
そして、ローブの何者かはその本当の姿を露わにしていた。
被っていたフードは自然と脱がれ、男型の黒色の体毛のケモノであったが、ローブの左腕部分は引き裂け、その素肌が見えるようになっており、左目が通常とは違い赤色になっている。
その素肌は、まるルーラーのような肉体をしており、右腕と比べて明らかに大きく、ルーラーの腕を無理やり接合しているように見え、肩部分には顔と同じ本来の体毛が見える。
?「おやおや、意外と非戦闘員にしてはやるもんだねえ。少し、意外だったよ。」
左はその間、ケモノとルーラーの接合体と、そいつから投げられたと思われる黒い物体を目視する。
その黒い物体は、なくなっており、落ちた場所にケモノとルーラーの接合体の左手としか思えない凹みができており、左は単純な力だけであそこまでの力を出すと予測する。
左「なるほど。少し、厄介事になりそうですね。」
そう行って、左はベルトに着けている物の中から一つ、取り出す。
それは、回転式拳銃だった。
それを見て、相手は左に向かって、全速力で走っていく。
左は両手で拳銃を構え、相手に向かって発砲する。
だが、撃たれた弾丸はその左腕によっていとも簡単に弾かれ、そのまま距離を詰められ、拳銃を飛ばされてしまう。
そしてそのまま相手は左腕を振りかぶり、左は潰されそうになってしまうのであった。
だが、その時、その左腕が止められる。
左をよく見ると、両手でマチェットを持っており、そのマチェットが振りかぶられる左腕を止めているのであった。
?「ッ!?」
左「全く。非戦闘員だからと言って、あまり舐めないでほしいものなのですが。」
?「貴様ァ!絶対にィ!ここで貴様を潰す!!」
そういって、相手はさらに力を強め、そのままマチェットごと左を押しつぶそうとする。
これには流石に左も耐えることができず、段々とその力の差に押しつぶされていく。
左「ぐぐッ。中々、と、言うところでしょうか。ですが、まだ、足りませんねぇ。」
?「アァ?なんだと、テメェ?」
左「おやおや、これ程の事もわかりませんか。やはり、その力だけに頼ってきたのでしょう。あなたのために教えてあげましょう。「君のような奴には誰かを殺す力などない」って言ったんですよ!」
?「ッ!!!この野郎がァア!!!」
左の言ったことに激怒し、さらに力を強める。
それには流石に左もかなり苦しそうな顔をする。
だが、その時。
左が一言呟く。
「勝った。私の勝ちです。」