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TRIGGER'S  作者: AAAAA-DOMARIKA
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第5話 ペア

 ***




ほぼ同時刻。

アオギリ区のとある場所に、3体のケモノがいた。

一体の名は「風能(ふうの) 修斗(しゅうと)」。

男型の体型で黄緑色の体毛に白色のTシャツに、体の色々な所に緑色の布をマフラーのようにして巻いている不思議な見た目の、150cmないくらいの身長のケモノである。

もう一体の名は「赤座(あかざ) (はる)」。

男型の体型で橙色の体毛に、茶色のベストを羽織り、整った服装をした、風能よりも少し小さい身長のケモノである。

最後の一体の名は「ネロ」。

男型の体型で黒色の体毛に、膝までの長さの黒色のローブをフードを深くかぶって着ており、口元には黒色のベースに赤色の線が所々入ったマスクのような仮面のような何かをつけており、赤色の模様が描かれたネクタイをつけた、実質不審者である。

ちなみに、身長は150cm程度である。


風能「どうだ、何かあったか。」

赤座「いえ、何も。」

ネロ「あったらここに居ねえよ。」

風能「そうか、また捜索しに行こう。で、見つからなかったら一度拠点に戻ろう。」

赤座「了解。」

ネロ「じゃ、またな。」


そして赤座とネロは先ほど来たと思われる道にそれぞれ引き返していき、風能も同じように木佐と思われる道に引き返していった。




風能はとある路地裏に入り、真ん中で停止した。


風能「さて、また上から探すか。」


そう言うと、風能は周囲に人がいないかを確認し、ゆっくりとしゃがみ込み、今からジャンプをするような体勢を取る。

そして、ゆっくりと両目を瞑る。

すると、風能の全身を覆うようにして、空気が少しずつ揺れ始める。

風能の周りだけに風が吹き荒れており、毛が揺れるのが遠くから見てもわかるだろう。

そして、少し経った後、風能が一言呟く。


風能「 ―― (カゼ)(トモ)ニ ―― 」


そう言うと共に、風能は体勢を戻すと共にジャンプする。

すると、普通なら少ししか飛べないのだが、風能の足はものすごい跳躍力を見せ、一気にビルの上にまで体が上がり、そのままビルの屋上に受け身を取って身を着地した。

その時、風能の全身を覆うようにして表れていた空気の揺れがジャンプをすると共に下に押し出されるように動き、そして現在は消えていた。


風能「さーってっと、出てきなよ、ルーラー。」


風能がそういうと、まるで予言をしていたかのように、風能がいた路地裏から何かが飛び出し、上空に舞い上がる。

そしてそれはそのまま風能目掛けて落下してくる。

それを見切って、風能は後ろへと下がり、避ける。

何かがそこに着地し着地した所は罅が入り、砕ける。

そして、その怪異の姿が露わになる。

細身の体に、蛙のように作られた手足、唯一太くなっている関節部に、灰色の目だけがある丸い頭の2mほどのルーラーであった。


風能「おやおや、まさか"ペア"だったとは。うむ...いや、まさか、いや、そのまさかだな。となれば...」


風能がそのまま続きを言おうとした時だった。


「キャアアアアァァァーーーーーー!!!!!!」


一つの悲鳴が、響き渡る。


風能「クソッ!遅かった!」


風能はその悲鳴のほうへと向かうと共に、ルーラーのほうに向かってデコピンを放つ。

もちろんデコピンは空を切るが、そこから空気の歪みのように思える風が放たれ、ルーラーの眼球に命中する。

さすがにルーラーも目に攻撃を当てられては耐えることはできず、その場で倒れこみ、足掻き苦しむ。

その間に、風能はビルからジャンプし、再び「(カゼ)(トモ)ニ」と言い、能力を発動して飛距離とスピードを伸ばす。

宙にいる間、悲鳴があった方向へと向かって、風能は何度も能力を発動して、加速していく。

そして、何度も加速していったある時、丁度今ケモノに襲いかかろうとしている、一体のルーラーを確認する。

先ほどのルーラーと同じ見た目をしており、目の色が灰色ではなく赤色になっているルーラーだった。

そのルーラーにある程度近づいた所で、風能はルーラーに向かって足を付きだし、斜めに落下していく。

その間、風能は落下すると共に能力を発動し、どんどんと加速していく。

そして、あっという間にルーラーに接近し、蹴りは見事ケモノに夢中になっていたルーラーの顔面に直撃する。

その反動でルーラーは跳ね飛ばされ、風能はきれいな着地を見せた。

風能はケモノへと近づき、状態を確認する。


風能「大丈夫ですか?」

ケモノ「あッ、あぅ、あ、ああ...」


風能がケモノの顔を見た時、その表情には絶望の感情しかなかった。


風能「くッ、やはり遅かったか。さすがにあいつらも気づいてるとは思うが...」


風能がさらに言葉を続けようとした時、先ほど跳ね飛ばしたルーラーが再び立ち上がり、何度か四肢全てを使って、まるで蛙のようにして近づいてくる。

そして同時に、遠くから同じようにやってくるルーラーがいた。

そう、先ほど風能がビルの屋上で接敵したルーラーだ。


風能「やはりこちらに向かってくるか。となれば...一旦引くしかないようだな...」


そう言って風能は被害者のケモノを担ぎ、逃げようとする。

が、何かに足を引っ張られ、転んでしまう。

その衝撃でケモノを手放してしまう。

風能はすぐさま後ろを振り返り、足のほうを見る。

そこには黒い蛙の手のような何かが足を両足を掴んでいる光景があった。

その手を渡って体のほうを見ると、そこには先ほどの赤色の目のルーラーがいた。

風能はそれに対し腕に対して能力を発動して相手の顔面を思い切り殴ろうとする。

が、それをもう一体のルーラーが両腕を掴み、二体の連係によって、風能は完全に押さえられてしまった。

その間、風能は何もできず、一体のルーラーが、足を使って倒れているケモノを引き寄せようとする。


風能「クソッ!」


風能は、何も出来なかった。

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