第4話 狙撃手ト爆弾魔、ケモノト怪物
園崎は、小さな声で、しかし大きな声で、相手を威嚇するようにして、一言呟く。
園崎「 ―― 遠回リノ近回リ ―― 」
そういうと、園崎の体がふっと宙に浮き、物凄い速さで直進すると、再び地面に足を付いた。
その間、機械でなければ速さは計れないだろう。
一般人には、物凄い速さで一歩を進んでいるようにしか見えないのだ。
そう、これが園崎 六花の能力である。
園崎はルーラーに。
左海はケモノに向かって走っていく。
そして、その間もルーラーはケモノに夢中になり、ただ目の前の獲物を捕らえようと必死である。
その間、園崎は一秒待って、進んで、また一秒待って、能力を使って一秒待つのを繰り返し、徐々に徐々にルーラーに詰め寄っていく。
そして、ふと、ルーラーとの距離が数mとなった時、園崎は勢いよく能力を発動させる。
そして、距離が1mあるかないかくらいになった時、懐から一つ、銃を取り出す。
見た目からは、普通の銃ではないことがわかり、恐らく散弾銃だとわかるだろう。
取り出した散弾銃を構え、ルーラーのほうへと向ける。
園崎「―― 零距離射程・貫通弾 ――」
そして、しっかりと相手に全弾命中するのがわかっているような顔をし、引き金を引く。
「ググググガグガアアアァァァアーーーーーー!!!!!!!!!」
園崎が放った弾丸は全弾ルーラーに命中し、その巨体に幾つかのそこそこの大きさの風穴を開けてしまった。
その痛さ故に、ルーラーが数歩後ろに引きさがり、そこを抑えるように手を当てる。
そしてその間に左海はケモノのほうへと近づく。
左海「あんた!大丈夫かい!?」
ケモノ「うっ、あれ?私、死んで...ない...」
左海「とにかく、早く逃げるよ!」
そう言うと、左海はケモノを立ち上がらせ、支えながら遠くへと去っていった。
それを見て、ルーラーはそのほうに向かおうとするが、再び園崎が「零距離射程・貫通弾」と言い放ち、また体に風穴が空いてしまった。
さっきと同じようにまた後ろに引きさがり、同じことを繰り返すと、ようやくルーラーは園崎のほうを向き、新しい獲物を見つけたように右手を園崎に思い切り振りかぶる。
それを見た園崎はまた再び、「遠回リノ近回リ」。
そう言い放つ。
すると、また園崎の体がふっと宙に浮き、物凄い速さで後ろに後退すると、再び地面に足を付いた。
そして、また再び散弾銃を放つ。
少し当たらない弾丸が出たが、大体はルーラーの体にあたり、また傷をつけていった。
だが、その時だった。
ルーラーはまるでその行動を予想していたかのように、今度は左手を思い切り振りかぶり、園崎を捕らえようとする。
さすがに園崎もその行動には驚き、まだ体勢を整えれていないため、能力を発動しようとすることも、もう一度弾丸を放つこともできず、ただ見つめることしか出来なかった。
その時だった。
突如、少し遠い場所から、何かが投げれらる。
それは、空き缶だった。
そして、それはルーラーのほうへと向かい、ルーラーに命中しそうになる。
その時、ちょうど戻ってきた左海が、大声で叫ぶ。
左海「構えろ!!!」
その言葉を受け、園崎はしゃがみ、身構える。
そして、その空き缶がルーラーに当たった、その瞬間。
左海「 ―― 死ニユク者モノヨリ敬礼ヲ ―― 」
そう左海が呟くと、その空き缶が爆発し、ルーラーの体は命中した所が抉り取られる。
その隙に園崎はまた能力を発動し、後ろへと下がる。
これが、左海 鳴の能力である。
園崎と左海は合流し、ルーラーのほうを向く。
まだルーラーは生きており、だが、それでもかなりの負傷を負い、右肩が抉られかなり右腕が不安定な状態になっている。
そんな状態になっても、ルーラーは逃げることもなく、ただ目の前の獲物を捕らえようといった様子である。
左海「さあて、一体どうやって倒してやろうかねえ。」
園崎「できるだけ早く潰しましょう。跡形もなく。」
左海「そろそろ政府側も来る頃かもしれねぇから、さっさと片付けちまうよ。作戦は、『爆裂』でいこう。」
園崎「了解しました。」
そう言うと、園崎は左海にベルトに着けている物入からとても小さな青色の線の入った弾薬ケースを一つ取り出し、左海に手渡す。
すると左海が手早く中の弾丸を全て取り出すそしてまた戻す。
そしてそれをまた園崎に渡し、園崎はその弾丸を散弾銃に込める。
左海はその場から離れ、ルーラーの横に回る。
園崎は散弾銃を再び構え、少しずつルーラーに近寄る。
そして、距離が数mの所になったとき、その弾丸を放つ。
その弾丸はルーラーに命中し、傷を与える。
その時、左海が鋭い目付きをし、丁度ルーラーに弾丸が当たった時に、一言呟く。
「―― 爆裂 ――」
すると、放たれた弾丸すべてが爆発し、小規模の爆発を幾つも起こす。
その攻撃はすべてルーラーに命中し、その肉がバラバラになっていく。
そして何時しか爆発は止み、そこにはルーラーだった黒い液体だけが残っていた。
左海「終わったね。」
園崎「そうですね。では、帰りましょうか。」
左海「あぁ、そうだね。」
二人は荷物を置いている場所に戻り、荷物を持って、拠点へと戻っていった。