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TRIGGER'S  作者: AAAAA-DOMARIKA
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第1話 運命

この世界には、「ケモノ」と呼ばれる生き物が、人間に打って変わって繁栄していた。見た目としては人型、様々な色で、皆別々の毛色をしている。大きさも様々で、人間よりはかなり小さいだろう。そして何より、この世界には「ルーラー」。そう言われている玉蟲色や黒色のような色の、ケモノよりも大きな怪物が潜んでいる。片目が赤、もう片目が灰色をしており、ケモノを襲い、捕食する悪魔である。そんな社会が広がる中、戦う者がいた。




某日。通称「異能区」、正しくは「アオギリ区」に、一体のケモノがいた。

異能区。

その名の通り、異次元的な能力を持つ者が集まる場所。

そのケモノは、男型の体型、白色の体毛、白と水色で構成されたパーカーを着ており、大きさは140cm代。

右目のみが隠れて見えなくなっている髪の毛。

普通に見れば、ただの一般人である。

こいつの名前は「糸冬(いとふゆ) (なぎさ)」。

とある組織に所属する、一体のケモノである。


糸冬「......いないな。 (周囲を見渡す) さっき悲鳴が聞こえたはずなんだけど...まぁ、いっか!」


そう言うと、彼は去っていった。


が、その時、


「誰かあぁ!!!!助けてえええ!!!!!」


その悲鳴が、糸冬の耳に入ってくる。


糸冬「全く...やっぱりいるんじゃないか。」


そう言って糸冬は、そそくさに悲鳴が聞こえたほうへと走っていった。




 ***




「うっ、うわああぁぁぁ!!!!!!」

路地裏、一体のケモノがいた。

そして、その近くにいるのは、大きさ約2m、右目は灰色、左目は赤色、かなり細い身体、とても大きな口に、4本の手の指、3本の足の指、鋭利で大きな棘が体中についている、非常に狂暴さがうかがえる見た目をしているルーラーだ。

そして、今にもケモノの襲い掛かろうとしている所であった。


ルーラー「ググ、ググガアアァァァァ!!!!!!」

ケモノ「や、やめてええぇぇええ!!!」


ケモノは目を瞑って、ただ、助けを祈るしかなかった。




その時だった。


ルーラー「グ、グググ、グガアアアアアアアァァァァァ!!!!!!」

ケモノ「え、え...?」


ルーラーは、聞いたことのないような悲鳴を上げる。

それに対し、ケモノはゆっくり、ゆっくりと目を開ける。

そこに広がっていたのは、きれいな直方体上の巨大な氷の塊と、それに押しつぶされただの黒い液体と化していたルーラーだった。


糸冬「大丈夫だった?怪我してない?」

ケモノ「あ、あなたが、助けてくれたんですか?」

糸冬「あ、うん。まぁ、ね。」

ケモノ「あ、ありがとうございます! (深く礼をする)」

糸冬「いや、別にそんなの大丈夫だよ。別に、こんなことは日常茶飯事だし。あと、気を付けなよ。こういう暗い場所には、ルーラーがよくでるから。っま、今潰した奴はもう液体だし、氷も勝手に消えてくれるから安心しなよ。じゃ、僕はこれで失礼。 (去っていく)」

ケモノ「あ、ありがとうございました! (再び深く礼をする)」


ケモノはただ、助けてくれた一体のケモノ、名も知らぬ一体のケモノに対して、感謝の意を送っているだけだった。




 ***




また、別の路地裏に、一体、糸冬がいた。

どうやら、あの後、走って、あの場所から逃げるようにして走ってきたようだ。


糸冬「はぁ、はぁ、さすがに疲れたな。さっさと、帰ろ...う...」


糸冬がまた、歩き出そうとしたその時、


「おーい!渚ー!!!」


糸冬に声をかける、一体のケモノがいた。

段々と、糸冬のほうへと近づいてくる。

男型の体型、深紅色の体毛、どこぞの軍隊のような長袖の上着とズボンと帽子を身に着け、両手には黒い手袋をつけ、肌の部分が顔以外全く見えない、一体のケモノである。

そして、両手には物品の詰まった大きな袋を2個抱えている。

こいつの名前は「陰裏(かげうら) (いつき)」。

糸冬と同じ組織のメンバーである。


糸冬「あぁ、樹。どーした?」

陰裏「いや、別に。ちょっと買い出しに行ってただけだよ。」

糸冬「...なるほど。で、俺に荷物を半分持ってほしいってことだな。」

陰裏「あったりー!じゃ、帰るよ。 (袋を1個渡す)」


糸冬は渋々とそれを受け入れ、陰裏と共に路地裏を出て、組織のある場所へと帰っていった。



糸冬のいた、路地裏を作り出しているビルの上に、二体のケモノがいた。

糸冬と陰裏の事を、監視しているようだった。

一人は男型の体型で。紫色の体毛に、灰色のテーラードジャケットのような物に、灰色のズボン、赤色のバンダナのようなマフラーのような何とも言えない物を首に付けている、150cm代のケモノ。

もう一人は、男型の体型で薄い黄色の体毛に、白色のローブをフードを外して着ており、中には灰色や黒色の色合いの服を着ている、150cm程度のケモノである。

ふと、紫の体毛のケモノが喋りだす。


? (1)「去ったな。まだまだ状態は普通のケモノといったようだな。」

? (2)「あぁ、そうだな。んー。いいのか?確保しなくて。」

? (1)「あぁ。別に"今"はいい。いつか、時が満ちた時に回収するからな。」

? (2)「ふーん、そうか。じゃ、別にいいや。たまには、俺にも出番をくれよな、ルシファー。」

ルシファー (? (1))「安心しろ。今もシナリオ通りに進んでいる。いつしか、お前にも出番がやってくるからな。」

? (2)「けど、俺はもう待てねぇんだよな。さっさと、一暴れしてぇんだが。」

ルシファー「全く。そんなこと言ってる暇があるなら、戻るぞ。」

? (2)「はいはい。わかったよ。」


そう言って、二体のケモノは、どこかへ行ってしまった。




これは、己と家族を捨てられた、捨ててしまった者、そして、運命を仕組まれた世界とその者達の物語。

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