第9話 俺は闘いたい
さらば...俺の思い出よ。
「やっぱりあなたは凄い爆破を使いますね。流石、我が一族の救世主です」
そう言って少女は俺をキラキラとした目で見てくる。
俺はこれ以上迷惑を掛けられる前に彼女の前から逃げ出した。
「待ってください話ぉぉぉ」
俺は彼女から全力で逃げた。
そしてしばらく歩くと俺はまた一人の魔族とエンカウントする。
「ヒッッヒッヒ...ようやく見つけたZO!勇者ァァ」
そう言って俺に半裸でナイフを舐めながら話しかけてきた。
「俺の名前はぁリッパ—!お前を殺す相手だZE」
その後、俺に対してこいつも能力を説明してくる。
「俺は血狂いの異名の通り、自分の血液を使って戦う」
そう言って彼は自分の身体を切り、そこから何千ものナイフを空中に並べた。
「これでお前はチェックメイトDA」
どや顔でそう言うリッパ—に俺は自爆した。
俺が戻ると彼は死んだのか消えたのかとりあえず姿が見えなかった。
俺は最初は無双することを楽しんでいたが流石にここまで手応えが無い相手ばかりだと飽きてくる。
「強いヤツ何処かいないかなぁ?」
そう言うと横からひょこっと彼女が現れた。
「それなら今近くの街で最強の魔族を決めるトーナメントがやっていますよ!」
出ますか?そう彼女は聞いてきた。
こいつ俺に着いてきていたのか...
俺は呆れながら彼女に言う。
「俺もこの大会に出れるのか?」
そう聞くと彼女は笑って言った。
「私に考えがあるので任せてください!」
それから色々あった。今俺は爆破の魔族の少女、メテオによって魔族に姿を変えてトーナメントの受付に並んでいた。
「お客さん、参加費用は持っているの?」
そう聞いてきたおばさんに俺は銀貨一枚を渡す。
「毎度あり。それでは戦いを楽しんできな!」
そうやって彼女はニヒルに笑っていた。
俺はそれから待合室に行き、待っている間にトーナメント表を見る。
そこには先ほど倒したリッパ—やソフィーユなどの名前も書いてあった。
魔界十三騎士もゴロゴロといるのか。
確かに最強を決める戦いと言っても間違いはないのかもしれない。俺はこれから戦う強者たちに胸を膨らませた。
試合が開始目前になると一人の女性が話始める。
「それでは今から魔族最恐決定戦五百六十三回を始めます!ルールは皆さんご存知の通りに簡単、相手を戦闘不能にするかリングの外に出したら勝ち!
勿論相手を殺してもOK!あなた達の全力の闘いを皆が期待しています!」
メテオが何故か司会として会場を盛り上げていた。
「それでは第一回戦!最後の一人になるまで戦う地獄のバトルロワイアルの開始です」
近くにいたおっさんが鐘のような物を鳴らして試合開始の合図をした。
どうやらトーナメント表に書いてあったのは第一回戦の試合を免除されたシード枠だったらしい。
俺の周りにいた数百名が試合開始と共に動き出した。
勿論俺の近くにも一人の魔族が現れた。
「...なんで俺がこんな試合でないとけないんだぁ....」
いつしかの吐息野郎。どうやらこいつは生きていたらしい。
「...まぁとりあえあずお前は死んどけよぉ...」
そう言って口から紫色の何かを吐いてきた。多分見た目的に毒だろう。
ちなみに自爆は正体がバレるので使わないことにしている。それに禍々しい剣も鞘を買って入れておいた。
なので俺はその毒を拳で振り払う。しかし、周りにいたものはそれを吸ってしまったようだ。
それを喰らった瞬間顔色を変え、首を抑えながら彼らは地面に倒れていく。
「...俺は魔界十三騎士の一人ぃ...ハームゥ...そして毒を使ぅ...」
どうやら喰らったらやばそうだ。
俺はひとまず逃げようとする。だが、周りを見て俺と彼以外生き残っていないことを理解した。
近づいたら死ぬ。近づかないと戦えないしどうしよう...
俺は逃げながら考える
そして思いついた。倒れているほかの魔族をあいつに投げればいいんだ。
それから俺は只管、毒に苦しんで倒れている者たちを拾っては投げて拾っては投げる。
「ちょっ...お前それはないわぁ...流石にそれはだめでしょぉ...うっ....」
彼は俺の投げた投擲物ちょくちょく当たる。そして、よろけている。
俺は彼の言葉を気にせず投擲を繰り返す。
「やばい...もうだめだぁ...やめてくれ...」
いつのまにか彼は地面に這いつくばっていた。そして試合終了のゴングが鳴った。
「なんということでしょう!あの吐息のハームを倒して勝ち上がったのは謎の魔族、ハールキだぁぁ!!
第一試合目から大番狂わせが起きました!一体今回の大会はどうなってしまうのかぁあ!!」
ノリノリでメテオが解説している。
それを冷めた目で見ながら俺は考える。
何か忘れているようなぁ....
それを教えるかのように俺の血管が蠢く。そうだ!早く自爆しないと。
俺は会場を一瞬で出た。そして近くの森で規模を抑えて自爆した。