第16話 ...俺は楽しかった
俺はそれからも新たな街を手中に収めて宴をし、気が済むまで騒いだ。
意外にも俺はこの生活が楽しかった。現実ではこんな風にバカ騒ぎ出来る友達なんかいなかったからな......
俺は用意された部屋に戻る。すると何故かメテオがいた。
「魔王様、宴は楽しかったですか?」
彼女はそう聞いてきた。俺はそれに対して答えた。
「ああ、悔しいけど楽しかったよ」
それを聞くと彼女は笑って言った。
「それならよかったです」
俺はそんな風に笑う彼女に見惚れた。こんな優しい顔で笑う奴だったのか...
俺はそれから思い出す。
俺はもう少しで魔王を倒して現実世界に帰るのか....
もう目の前にいるメテオ、それにバロム。皆と会えなくなるんだ...
そう考えると涙が一粒落ちた。
それを見たメテオは俺を優しく抱きしめた。
「泣かないでください春樹様。私が話を聞きますよ」
....それから俺は彼女に全てを話した。
俺は女神に自爆をスキルを渡され、冥界で百年間働かされたこと。
それから生き返してもらうために魔王討伐の旅に出たこと。
その道中で良い感じだった美人な女性を失い、また火山付近の村でもカレンに振られ、彼女が出来無かったこと。
そして俺は魔王を倒したら元の世界に帰らなければならないこと。
それを聞いた彼女は言った。
「それなら私はどこまでも一緒にお供します。あなたの忠実な僕として」
それが爆破の一族としての務めです。そう言って彼女は笑った。
俺はそれを聞いて暫く顔を伏せて泣いた。
俺達はそれから魔王城に挑むための準備を整え始めた。
今までの街で集めた沢山の兵器、バロムなどの知能派による詳細な作戦。
更には遠くから集まってきた多くの反現魔王の魔族達。
その中には爆破の魔族の一族もいた。
「娘がお世話になっています」
そう言って笑う彼に俺は言った。
「...助けてもらったのは俺です」
俺もそれから悔いの残らないように様々なことをした。
そして魔王城に向かう前の最後の自爆をした。




