第10話 俺は女が好きだ
俺はその後すぐに会場へ戻った。
会場へ戻ると他のブロックのトーナメントが始まっていた。
初見の相手を攻略しながら闘うのもいいが、見て対策するのもまた醍醐味だろう。
俺は戦う前の相手を確認しておくために観戦すること決める。なので俺は参加者専用の観客席に向かった。
俺は空いている席に座ると横の魔族に話しかけられる。
「貴方中々ユニークな戦いをみせてくれたわねぇ...少し興奮しちゃったわ!」
そう言って隣の魔族がスキンシップ多めで褒めてくる。男にべたべたされたくないので席を立つ。
「俺に男があまり触れるな!」
そう言うとそいつは笑って言った。
「私は心は女よ」
どや顔でそいつは言うが俺の言う男は体が男という意味だ。
俺は恋愛相手を中身で決めるような出来た男ではない。
俺は仕方なく立って観戦することにした。
全てのトーナメントが終わった。俺は今まで勝ち上がった魔族を思い出していく。
Bブロックの勝者ウィンド。
奴は辺り一帯に風を吹かせて全員をリングの外に一瞬で追い出した。かなり強そうだ。
Cブロックの勝者クレイ。
彼は何もない所から数多くのゴーレムを出して周りの参加者を蹴散らしていった。中々戦うのが骨が折れそうだ。
Dブロックの勝者クリア。
彼は体を透明にして姿を隠す。さらに鍛え上げた剣技を使い多くの魔族を葬った。
俺は彼らと戦う時の対策を考えながらメテオからのトーナメント表の発表を待っていた。
そして決まったようだ。メテオによる発表が始まる。
「それでは皆さんお待たせいたしました!只今よりトーナメント表の最終決定を行います!」
そう言って彼女は指を鳴らすと会場に吊るされているトーナメント表の空いている場所に名前が浮かび上がる。
「まず驚くべき闘い方で大番狂わせをしたハールキですが、何と対戦相手は先ほど倒したハームの彼女、ソフィーユに決まったようです!何という偶然でしょう!!」
そんな偶然あるのか?多分あいつリア充が嫌いだからカップルを撲滅してやろうという魂胆だろう...
「次に開始直後に全ての参加者をリングの外に弾き出した異次元の強さ!それも年齢は十にも満たない神童ウィンド!
そんな注目の彼の対戦相手はなんとあの死んだと思われていた男!不可視の拘束のバスタードだぁ!」
アイツも生きていたのか。俺の倒した奴ら全員生きてるのかもな....
「次に数的有利の力を体現した彼女!クレイはリッパ—との戦いが決まりました!」
彼女の闘いは華が無いのか紹介が短かった。
「そして最後の透明の剣士!クリアはなんとあの伝説の魔族!バロムとの戦いが決まりました!!」
それを聞いて会場全体が盛り上がる。そんなに凄いのかバロムって。
俺はそれから闘いが始まる前の自爆をしに行った。