表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

第1話 最初の犠牲者

俺は斎藤春樹。冴えないサラリーマンだ。



常に流されるままに生きてきた俺は会社では上司に叱られ続け、家ではずっと動画サイトなどの受動的コンテンツばかり楽しみ生きてきた。




俺はそんな生活の中で一つの転機が訪れる。


「~0829!」


目の前にある宝くじと発表された一等の番号を何度も見比べる。



合っていた。俺は七億円を手にしたのだ。




遂に俺にも春がやって来た。これでもう人生安泰だ。俺はその日のうちに上司の顔へ退職届を投げ渡し、仕事を辞めた。


もう働かずに遊んで暮らせるぞ。まずは高級レストランにでも行こう。




そんなことを考えながら信号を渡っていると横から猛スピードでトラックが迫ってきていた。





どうやら彼は居眠り運転をしているようだ。俺はそのままあっけなく轢かれた。









目が覚めると辺り一面、白い空間にいた。



「目覚めましたか、斎藤春樹様」


その声を聞いて振り向くと同じ人間とは思えないような絶世の美女がいた。



そして彼女は俺に告げた。


「斎藤 春樹さん、あなたはトラックに轢かれて死んでしまいました」




そうか、俺は七億円を手に入れる前に死んだのか。そう素直に受け入れた。



「しかし、あなたがもし異世界に行って魔王を倒してくれたのならあなたを元の世界で生き返らせてあげましょう」


彼女は俺に微笑んでそう告げた。




詳しく話を聞くと、彼女は異世界アドミナルを管理している女神クロエというらしい。



つい先日。彼女の世界では人間の悲しみや憎しみなどの負の感情をから生まれた魔王と呼ばれるものが誕生して、世界に滅亡の危機が訪れているようだ。


流石にこれを見逃すわけにはいかないが最高神が決めたルールにより直接女神が手を出すわけにはいかないらしい。


なので違う世界の同じ人間、つまり俺に力を授けて魔王を討伐してもらいたいそうだ。




俺には七億円が待っているのですぐに頷いた。



それがあれば一生働かずに暮らせる。それに、もしかすると彼女も出来て孫にも会えるかもしれない。




「分かりました。俺が魔王を討伐します」



そう言うと彼女は嬉しそうな顔をして喜んだ。




俺はその後彼女が用意したカードを一枚選ぶ。



どうやらこのカードに書かれたチートスキルを俺が異世界で使えるようになるらしい。




直感で一枚のカードを選び、裏返す。


「自爆」



自分の命を犠牲に敵を倒す。






は?何このクソスキル。




「すいません。自爆ってカードが出たんですけど他のと変えてもらえませんか?」



そう聞くと彼女は申し訳なさそうにして俺に言う。


「ルールですので返却には対応できません」




その後、彼女が何かを唱え始める。すると俺の足元に謎の魔法陣が浮かび上がる。




このクソ女神は俺をこのまま異世界に転生させようとしているらしい。意見を変える前に異世界に送ろうという魂胆だろう。


見た目良くてちょっと優しいから惚れかけていたのに!




俺は彼女の思惑に気づくとすぐさま抱き着く。


「な、なにをしているんですか! あなた!」




その言葉に歪んだ笑みを浮かべた。


「...死に晒せクソアマ!!」





俺はそのまま自爆した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ