潜入開始
2025年 日本国某所 AM2:30
「やるぞ、10分以内に済ませる。ターゲット以外は射殺の許可が下りてる。」「了解」
目立たない白いバンから黒服の男たちが降りる。
全員が消音器の付いたライフルと防弾ベスト、暗視ゴ
ーグルを装備している。
「門に歩哨2人を確認。油断している。始末するぞ」
小さな破裂音と共に歩哨がその場に崩れ落ちる。
「死亡確認。裏門から敷地に侵入する」
「前方の角から誰か来る。」
「俺がやる。」
歩哨は角を曲がり異変に気付いた。裏門が開いている。そこに立っていたはずの仲間を呼ぼうとした次の瞬間、歩哨は暗闇に引き摺り込まれ、心臓にナイフが突き立った。
「外の警備はクリアだ、これより屋敷に侵入する」
「明かりを消してやろう。ブレーカーを落とすぞ」
屋敷の電気が消え、様子を見に裏口から出てきた男を射殺する。
「わざわざ開けてくれるなんてな。チームは裏口から侵入する」
「各部屋を捜索してHVTを見つける。念を押しておくがHVTは無傷で確保しろ。それ以外は全員射殺して構わん」
男たちは掃討を始めた。
敵の殆どは寝ているか暗闇で状況が把握できず、一方的に射殺されていった。
しかし中には異変に気付き、AKを取り出し戦闘態勢に入る者たちもいた。
「勝手に入ってくるな!」
叫び声と共にドアに穴が空く。部屋からAKを撃っているのだ。凄まじい銃声と共にドアがボロボロにされていくが、侵入した男たちはあくまで冷静だった。
男たちもドア越しにライフルで応戦する。
ドアの中から短い叫び声が聞こえ銃声が止んだ。
「突入する」
ドアを蹴破り、弾丸の数発を受け虫の息となった男の胸に二発撃ち込み確実に仕留める。
「クリアだ。ブラボーはここを確保。我々は二階に移動する」
一階に少人数の隊員を残してチームは階段に向かった。
「待て」
木製の階段の軋み、角からAKを持った男の顔が覗いている。次の瞬間、彼の額に穴が空き、そのまま階段を転げ落ちた。
「アルファは二階に移動する」
二階へ移動したチームはさらに分散し、一部屋ずつ確実に掃討して行く。殆ど抵抗も無く、作戦は順調に進行していた。
「最後の部屋だ」「ロックされてるぞ」
ドアを開けようとするがぴくりともしない。ターゲットの男が危険を察知し鍵をかけ立て篭もったのだ。
「任せろ」
男の1人がポーチからテープ状の爆薬とコードを取り出し、ドアノブ周辺に貼り付けていく。
「やれ」
小さな爆発音と共にドアノブが吹き飛ぶ。フラッシュバンが投げ込まれ、中にいた護衛は抵抗することもできず射殺された。そしてベッドの下に隠れていた男が引きずり出される。
「山田たかし、貴様は特殊作戦部隊に拘束された。言う通りにしなければ命はないぞ」