第三話 親になるって大変
えーっと…どうしょう…
ここで俺は死ぬのかもしれない、今凄くピンチかもしれない…
なんか生暖かい風がくるなーって目を開けたら俺と同じぐらいのトカゲ?が俺の方に顔を向けて眠ってたんだけど?
俺は音が鳴らないように忍び足で離れていこうとした。
しかし俺は足下に注意をしていなかった…
『バリッ!』っと音が鳴った。
俺は何かの破片のような物を踏んでしまったらしい。
それは、よく見ると昨日俺がひっついて寝た
卵のカケラだった。
『ギョロ、ギョロ』トカゲくんの目がこっちを見ていた。
「ワァーーーー!!」俺は悲鳴を上げると
トカゲくんも『グォーーー!!』と吠えた。
俺は走って逃げ出すとトカゲも走って追いかけてきた。
俺とトカゲは巣の周りを5分ぐらい走り回った。俺が疲れて足を止めるとトカゲも足を止めた。
「ん?なんだこいつ俺を食べないのか?」
トカゲは『クウゥーン』と鳴き俺に鱗だらけの鼻先を擦りつけてきた。
「甘えてきてるみたいだな。」
襲ってくる様子はない。
俺は迷わず情報検索を使うことにした。
俺の頭の中にトカゲの情報が流れこんできた。
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〔Level 1〕レッドドラゴン(子供)
《攻68》《魔45》《体101》《SP46》
《防88》
〔スキル一覧〕
《飛行(小)》《耐性の鱗》
《ファイアブレス》
〔称号〕
《竜の子》
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「よし、自分以外の対象にも使えるな!」
俺以外の対象にも情報検索を使うことができるらしい。
これからは、どんどん使っていこう。
トカゲはいまだに俺に鼻先を擦りつけている
「ていうか…ステータス高すぎじゃね?俺の5、6倍はあるぞ。」
トカゲではなくレッドドラゴンの子供だったらしい。
『グゥー』
俺の腹から鈍い音が鳴った、そういえば昨日からまだ飯食っていなかった。
ドラゴンは俺に危害を加えてくることはないようだ、安心して食べ物を探せるな。
俺は森の中にある食い物を探して歩き始めた。
俺が歩くと後ろからドスドスと足音がする。
なんかドラゴンが付いてくるんだが、大丈夫だよな?
少し歩いた場所に赤い実のなった大きな木が生えていた。
「あの実食えそうだな、だけどあの高さじゃ届かない…そうだ!あれを使ってみよう。」
「ウィンド!」
俺の手のひらには小さな竜巻のようなものができた。身体からスゥーと何かが吸い取られるような感覚がした。
俺は赤い実に向けてウィンドを放ってみた、すると1つの実を狙ったつもりが3つ落ちてきた。
「よし!運がいいな!」
落ちてきた実をかじって見ると甘酸っぱい味がした。それをみていたドラゴンが真似をしたのか大きく口を開けて火の息、いや炎の息を木に向けて吐き出した!
「おーい、木に火は燃えちゃうぞー!」
ドラゴンは失敗したことに気づいてしょんぼりしていた。まあ誰にでも失敗はあるって
俺はドラゴンの口に赤い実を1つ放り込んだ。
ドラゴンは『ガウッ』と鳴いた。
「そういえば、ウィンドを使ったとき身体からなんか吸い取られたような感覚がしたな?ステータスに異常はないのか?」
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〔Level 4〕ハヅキ ユウマ
《攻15+3》《魔14》《体29》《SP16/13》
《防15+4》
〔スキル一覧〕
《情報検索》《ウィンド》
〔称号〕
《神の加護》《子竜の育て親》《異*界|+6者》
〔装備〕
《木の棍棒+3》《布の服+4》
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「SPが16から13に減ってるな、SPは多分ゲームでいうとMPみたいなもんだな。」
俺はステータスの称号を見ていた。
うーん最初からこんな称号あったかな?
子竜の育て親?
ドラゴンが俺のことをジーっと見ていることに気づいた。
子竜の親…親
「あ・・ッ! もしかしてお前、俺のことを親だと思ってるのか?」
「ガウ!」
もしかして鳥もそうだけど孵った瞬間にみた物を親と認識するって話あるけどドラゴンもそうなのか?
うーん・・・まあ、いいか。
「名前がドラゴンだといちいちめんどくさいしお前に名前を付けよう!んーじゃあ、レッドドラゴンだからレンだ!レッドのレとドラゴンのンだ!」
レンは気に入ったのか羽をパタパタしている。
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〔Level 1〕レン (レッドドラゴン)
《攻68》《魔45》《体101》《SP46》
《防88》
〔スキル一覧〕
《飛行(小)》《耐性の鱗》
《ファイアブレス》
〔称号〕
《竜の子》《名持ちの竜》
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名前がレンに変わっていた、ついでに称号に
名持ちの竜が増えていた。
「よし、今日から人がいる場所を本格的に探しに行くか!レン!お前もくるか?」
「ギャウ!」
なんだか可愛く思えてきたな・・・
うーん 鳥って最初に見たモノを親だって本当に思うのかな…