夏祭り(小2)
学校は夏休みになった。
今年も水泳の帰り道に真理咲に祭りに行こって誘われた。俺は何も考えずにOKした。
家に帰ってから気付いた。
あれ?やばい!
去年、あーちゃんに無視されたんだった。
でも、真理咲は祭りの前日に誘ってきたし、いまさら断れないからしょうがないかと思って、あーちゃんには後から謝ればいいかということで、今年も真理咲と裕太と行くことにした。
当日
裕太はいなかった。
あれ?あっ、そうだ。思い出しました。
裕太はサッカーの大会で海外に行ってたんだ。夏休み初日に真理咲と空港まで見送りに行きました。帰ってくるのは始業式の日って言ってたな。
だから、真理咲と2人で祭りをまわることにした。
わたあめ屋さんのおっちゃんに
「おっ!今年はたっくん(俺)デートかい。可愛い子連れて。」
と言われてからかわれた。
「違いますよ、おっちゃん!」
とか言って笑いあってたけど、真理咲は照れて赤くなってた。
小さい頃から俺はずっと住んでいたので、屋台の人とかはだいたい知ってる人達だった。けれども、真理咲は小学校受験してきたからそんなには真理咲を知ってる人はいなかった。
俺達は川沿いでわたあめを食べながら打ち上げ花火をみていた。この花火は隣の町から見に来る人もいるぐらい結構すごい花火だった。
俺が大きな音にちょっとビビりながらもみていると真理咲が見透かして、
「あれ?もしかして、たっくんビビってんの?」
と笑いながら茶化してきた。
俺は、
「ビビってねーし!」
と強気に言い、
「真理咲こそビビってんじゃないの?」
と返した。
真理咲は、
「あたしはねー、ほんとはビビってるよ。でもね、好きな人と一緒だから大丈夫なの」
と花火を見たまんま言った。
「うん。俺も好きだよ。真理咲のこと。・・・裕太のこともね。」
うん?なんか、やらかしたかな?
真理咲は、
「もー!たっくんの鈍感!」
って言って、俺のわたあめを取った。
今思えば告白されたよね。俺。真理咲の初恋いただいてました。
俺は日本語の「好き」、LIKEとLOVEの違いがこのころはよくわかってなかった。とりあえず好きなものにはLOVE使っておけば通じるしさ。
うん。女の子は大人になるの早いね。
花火も終わり、真理咲と別れて、家の近くに帰ってきたとき、あーちゃんと会った。
「真理咲ちゃんと行ったの?」
(やばい、怒られる。)
「うん。ごめんな。」
(あ、これは絶対怒ってる。)
「へー。」
「何かね、好きって言われた。」
(しまった。つい、口が滑った。やらかしたわ。)
「えっ!?」
「だからね、俺も真理咲と裕太のこと好きだよって言った。」
「そう・・・。」
・・・あれ?今年は、あーちゃんは怒ってなかった。むしろ嬉しそうだった。
俺はよく分かってなかったけど、ただ、去年のように心にモヤモヤが生じることなく、ぐっすりと眠れた。