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59話 波乱の異能科高校

 魅希としずくの闘いが始まった瞬間だった。

 爆発が異能科高校内各地で起きたと思ったら、謎のフードを被る人物が生徒を攫った。

 何人かは眠らされて、そのままお姫様抱っこされて誘拐されたわけだ。


 あまりにも鮮やかだったので教師たちは追うことも出来なかった。

 ただ一人を除いては……



 美理みことは現在一人の賊を追いかけている。

 何故追いかけているかというとその賊は未来を攫って、逃げているからである。

 薬か何かで未来は眠らされている。

 美理は日ごろ気をつけているのだが、妙な緊張感から油断していた。

 頭の中では色々なことが渦巻いているさなか、美理は冷静な判断力を失っていたのだ。

 そんな中未来が攫われたのである。

 美理は自分自身の無能ぶりに嫌気がさしていた。なんて言っても自分の能力は他人の真似コピーしか出来ない無能だ。

 本当の所は自身で他人の能力をさらに吟味して、発展させるので、他人よりも力の使い方は上をいくことは多いが、それでも原典オリジナルには勝てないことがたびたびある。


 美理は街路を駆けている。颯爽と風が後ろに流れるように置き去りにされていく中、賊は三人で、一人が未来をお姫様抱っこしている。

 美理は腹が立つほど腸が煮えくり返りそうになった。未来を攫うこともそうだが、未来をあまつさえお姫様抱っこだと……!? 美理は堪忍袋の緒が切れかかっていた。美理は先制攻撃を仕掛けた。


「天かける身柱、天津光槍あまつひかりのやり!!」

 天から光の柱が降り立った瞬間、賊に命中した。

 その瞬間未来は空中に投げ出される。

 美理は未来を抱きかかえる。

 念願のお姫様抱っこである。


「大丈夫か!? 未来!! 眼を覚ましてくれ!」

 すると未来は眠そうな眼を擦りながら眼を覚ました。

「お兄様……私どうしてここに……? そう言えば変な薬を嗅がされたのか眠くなって眠ってしまったんですね」

 未来は無事だった。さて……族はまだ生きている。生かしているとしているのが正しいが。お前たちのご主人は誰かを美理は吐かそうと考えていた。


「未来……お前は先に高校のほうに戻っていろ。こいつら俺が情報を吐き出させる」

「わかりました。お兄様くれぐれも無理をなさらないようにしてくださいね」

 未来が高校のほうに戻っていった。



 さて、この糞野郎どもをどうするか。美理は美理なりに考えていた。最高に残酷で非道な方法で奴らを拷問する方法を。


 しかし賊のほうもただでは終わらないのである。

「くそ~お前らカリン様にご報告に行っておけ、ここは俺がこいつを倒す」

「はっ!」

 賊が二人逃げる。美理はそれを黙って見過ごす。

 一人さえいれば賊の目的やら動機などを聞きだせると判断したのだろう。

「ふふっ……さあお前は俺達の邪魔のようだな……だからここで俺に倒されて再起不能にしてやる!!」

 賊が手を天に上げる。すると空から謎の阿修羅像のような大仏のようなものが現れた。

「俺の能力は物質を生み出してそれに仮初の命を吹き込むことが出来る能力だ。どうだ凄いだろ!?」

「そうだな、凄い凄い」

 美理は心底どうでもいいように呟く。

 内心どうでもよかった。

「そうだなじゃあもっと凄いことを見せてやろうか賊」

「なんだと!?」

 美理は自身の力を増幅させた。ただそれだけだ。そして像をワンパン。吹っ飛ばした像は粉々に砕けた。

「でっどうするんだったかな? そろそろお前のご主人の目的を聞こうか」

「死んでも話さないぞ」

「言ったな? じゃあ死よりも苦しい目にあわしてやる」

 美理は覇気を籠めた眼光で賊を睨みつける。まるで破壊龍が蟻んこを踏みつぶすかのごとく容赦のない感じで睨む。

「ひいいっ言います言いますなんでも話すから殺さないでっ!!」

「じゃあ目的はなんだ言え」

「俺は下っ端だからあまり知りませんが……」



 要約すると、若き芽のある才能を集めているとか。

 だからこの異能科高校を選んだとか。

 そんな感じだ。

 結局何人かは他の上級生が後を追い、全ての賊を退治して、攫われた全員を取り戻した。

 賊の名前はリバース。

 どうやら京都支部らしい。

 リバースは最近巷を賑わしている革命組織だ。

 テロ、破壊活動、人攫いなどを行っている。

 俺はこいつらを許さない。

 美理はリバースを潰すことを決意した。




 某日、某場所――


 カルに依頼された扉姉弟はここに来ていた。

 能力者対策アンチバリアシステム研究所。

 ここはある場所にあるが場所はそれまで秘蔵されていた。

 しかしカルのハッキング技術によりその場所を突き止めた。

 姉のひらくキーを出して詠唱する。

「我が前に防ぎこむ障害よ、繋げ、紐解け、開錠せよ。崩開アダム

 最終防衛ラインが突破された。

 ここは全てロボットによる自動警備しかなかったが、全てこの扉姉弟が倒した。

 セキュリティも開によって意味をなさない。

 姉の開はどんな電子的なセキュリティも突破してしまう。

 銀行のATMやネットに繋がっている個人のHDDすらも丸裸だ。

 対象的に弟のやぶるは物理的なセキュリティを突破できる。

 どんな強固な金庫すらも破壊できるし、防火シャッターなどの強固なものすらも破壊できる。

 もともと闇の世界で生き抜いてきた姉弟なので、こういうことには手馴れている。

 といっても殆ど闇の住人からの依頼をこなしているだけで、依頼主の手は汚さないようにしている。

 実際痕跡を消すことを意識していたのでひらくはしょっちゅう、監視カメラのデータに介入して自分たちの存在を消している。

 今回の依頼も簡単だった。

 これによりここいらの領域のアンチバリアシステムが無効化された。

 後は撤退するだけだ。

「行くよやぶる

「ああ姉さん」


 某日、能力者に対する建物や人物に対するアンチバリアシステムが消滅した瞬間だった。


 数分後、アンチバリアシステムが消滅したことがリークされた。

 数時間後、各地で騒乱となった。


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